2014年4月30日水曜日

後見が始まってしまった本人は,何の判断も出来なくなってしまうのですか

後見制度は、判断能力の衰えた,あるいは失われた本人に代わって,後見人が本人の財産管理や身上監護を行うための制度です。

そうすると、被後見人は自分で何の判断もすることが出来なくなるのでしょうか。



そんなことはありません。

一身専属的な行為や身分行為は,後見人が本人に代わって行うことはできず,本人しか出来ません。
たとえば,婚姻・離婚・養子縁組などの身分行為や,遺言などの一身専属的行為については,本人でなければ判断することが出来ないのです。
(ただし,これらの行為を後見を受けている本人が実際に行った場合,それが真意に基づくものなのか,後から争いになる場合はあります。)

それ以外は,成年後見人が包括的な財産管理権を付与され,本人の行為能力は制限されるため,本人が行った財産上の行為は,後見人によって取消可能になります。

しかし,被後見人になったとしても,日常的な買い物についてまで,その能力が制限されてしまうと不都合なことがおきます。
例えば、スーパーやコンビニなどでのちょっとした買い物なども、一切被後見人が出来ないとなると、被後見人にとっても不便ですし、お店の側にとっても取引の安定性がなくなって不利益を受けることになります。
よって、これらの判断は被後見人が単独で行ったとしても、後見人が取り消すことはできないとされています(民法9条ただし書き)。

保佐の場合
民法13条1項各号の行為について,保佐人の同意が必要とされており,この同意がない行為については取消可能となります。
保佐人に代理権があるわけではなく,本人の同意を前提に,申立により認められます。

補助の場合
補助人には代理人がなく,全ての行為について本人が判断できるのが原則です。
ただし民法13条1項各号の行為の一部について,申立により,補助人の同意件が認められます。

(参照)民法13条1項の列挙事項
①  元本を領収し、又は利用すること。
②  借財又は保証をすること。
③  不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
④  訴訟行為をすること。
⑤  贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
⑥  相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
⑦  贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
⑧  新築、改築、増築又は大修繕をすること。
⑨  第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。

今後の展望

世界的な流れでは,日本の後見制度はすでに時代遅れになりつつあります。
日本が今年の1月に批准し,2月に発効した「障害者の権利に関する条約」の趣旨に反した現行制度は,今後変更される可能性があるでしょう。
本人の意思決定を支援し,自己決定の尊重を行うことを目的とする同条約からは,後見人に包括的な代理権を与える現行制度は,かつての禁治産制度とあまり変わりません。

制度の変革期にあるとはいえ,現行後見制度のもとでも,本人の意思を尊重し,本人の主観的な幸福を追求することが後見人には求められていると言えます。



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