2014年4月22日火曜日

後見人は,後見の仕事に対して,報酬をもらえるのですか。また,その報酬は誰が負担するのですか。

後見人は,本人(成年被後見人)の財産管理身上監護を,代理人の立場で行います。

後見人には,本人の意思を尊重すべきであり,また,財産管理と身上監護について善管注意義務を負っています。
そして本人の監督を怠っていたがために第三者に損害が生じた場合には,監督義務違反として当該第三者に対する損害賠償責任を負いますが,その負担を本人に対して求償することはできません

また,後見人は家庭裁判所の監督に服しますので,定期的な報告が求められます。

後見人は本人のために様々な負担をすることになるのです。

このような負担に対し,後見人は報酬を受けることが出来るのでしょうか。



民法862条は,「家庭裁判所は,後見人及び被後見人の資力その他の事情によって,被後見人の財産の中から,相当な報酬を後見人に与えることができる。」と定めています。

まず,報酬が認められるのは,家庭裁判所が認めた場合のみです。
原則として,後見人には報酬がないことになります。

もっとも,専門職後見人は,専門職であるがゆえに選任されているという側面があり,期待される専門職としての技術能力を駆使して後見業務を行うにも関わらず,無報酬というのは不具合です。

そのため,専門職後見人に対しては報酬が認められます
また,成年後見監督人が選任された場合にも,当該成年後見監督人の報酬が認められます。

一方,家族が後見人についた場合には,原則として報酬は認められません

大阪家裁の運用では,基本報酬額は月2万円です。
ただし,管理する財産が高額になれば,財産管理が複雑になる場合が多いので,報酬額が上乗せされます。
それでも,月額数万円といったところです。
報酬は,1年ごとに報酬付与の審判を経て決定されます。

後見人の報酬は,本人の財産の中から支払われることになります。
そのため,本人の財産がないようなケースでは,専門職後見人といえども報酬を受けることができない場合もあります。


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