2014年4月10日木曜日

裁判上の離婚が認められるのはどんなときですか

話し合いがうまくいかず,離婚すべきかどうかを裁判所が判断するにあたって,どういう場合に離婚が認められることになるのでしょうか。



民法770条1項では,次のように定めています。
夫婦の一方は,次に掲げる場合に限り,離婚の訴えを提起することができる。
① 配偶者に不貞な行為があったとき
② 配偶者から悪意で遺棄されたとき
③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
④ 配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき
⑤ その他婚姻を継続し難い重大な理由があるとき

条文の体裁は「離婚の訴えを提起することができる。」となっていますが,結局このどれかに当てはまれば「離婚する」という判決が下されることになります。

この中で多いのは,①や⑤でしょうか。

①配偶者の不貞を,証明しようと思えばそれほど簡単なことではありませんが,これが離婚原因となる,という事自体は簡単に理解できるでしょう。
ちなみに,条文上,離婚の訴えを提起することができるのは,不貞な行為を「された」側であり,不貞行為を行った側(有責配偶者)は,①の原因で離婚を請求することは出来ません。

それに対し,⑤婚姻を継続し難い重大な理由があるとき,というのは漠然としています。
DVを原因として離婚する場合などは⑤に当たるだろう,というのは分かると思いますが,そのほかはどうでしょうか。
結局,①から④のどれにも当てはまらないけれど,離婚すべき場合には,⑤の理由に該当する,と判断することになります。

さて,別居期間が○年続けば離婚が認められる,などということを聞いたことはありませんか。

別居が何年続いたとき,というのは,民法770条1項に挙げられた離婚原因ではありません。
しかし,別居が続いたという事実が,「婚姻を継続しがたい重大な事由」の判断材料と,考慮されることは大いにあります。
婚姻を継続し難い重大な理由の有無は,別居期間だけでなく,夫婦間の様々な事情を総合的に考慮して判断されることになります。
そのため,別居期間が○年続けば離婚が認められる,という一律の基準があるわけではありません。

5年というのが一つの目安,などとされています。
事情によっては,3年程度の別居期間でも離婚を認める判決が出されることもあります。

有責配偶者から離婚を求める場合には,「婚姻を継続し難い重大な理由がある」を原因とするしかない場合が多いですが,その際の目安として,別居期間があります。
有責配偶者からの離婚請求が認められないわけではないのです。
相手が有責だから離婚を認めるべきであるという「有責主義」から,婚姻関係が破綻している夫婦の場合には,離婚を認めるべきであるという「破綻主義」に判例は変わっています。


最後に,特に①から④の理由がなく,ただ性格上の不一致等を理由として離婚を考えている場合,というのはどうでしょうか。
別居期間がない,あるいは別居していたとしても,短いというケースも多いと思います。

この場合,判決により離婚を認めて貰おうと思っても,かなり困難でしょう。
よって,協議や調停の中で,離婚に伴う条件との調整で,なんとか離婚の合意を得る方法を模索することになります。

自分は有責配偶者だから,とか,別居期間が短いから,といって,離婚をあきらめることはありません。
確かに,ほかの離婚よりも困難ではありますが,専門家の力を使えば,それを和らげることができるかも知れませんよ。

そもそも,離婚は,婚姻と比べてもはるかに大変なイベントだと言われています。
ここに,法律の専門家である弁護士の力を利用することは,自分の消耗を少しでも和らげる手段となる,と思いませんか。


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