2014年4月28日月曜日

生命保険の扱いについて教えて下さい。

債務整理の際に,生命保険について,どのように考えるのでしょうか。

任意整理の場合には,生命保険を解約して返戻金を受け取って支払いの原資にするといった使い方が考えられますが,特に問題となることは無いでしょう。
(ただし,法的整理手続にすべきかどうか,微妙なラインにある場合には,生命保険に限らず資産の処分には慎重でなければなりませんし,一部への先行弁済に充てることも後々問題となることもあり得ますので,全く問題ないわけではありません。)



破産,再生といった手続では,問題となり得ます。

(1)解約返戻金の取扱い

まず,解約返戻金が資産となります。
解約返戻金が少額の生命保険は,そのまま維持し続けることも可能でしょう。
ただし,生命保険の掛け金が家計に対して大きすぎるなどといった事情があれば,解約してしまった方が良いでしょう。

破産手続では,解約返戻金の額が大きい生命保険は,解約して現金化して配当に回すのが原則となります。
(申立前に解約してしまえば、自由財産の範囲の広い現金で勘定できたり,あるいは生活費の足しとして費消することも場合によっては認められます。
ただ,申立直前の現金化を資産隠しとして警戒する裁判所・管財人もありますので,注意は必要です。)

ただ,生命保険がその人の生活にとって必要と思われるような場合には,自由財産の拡張により,維持が認められる場合があります。
例えば,持病のため,今後生命保険に加入することが困難である人などです。
場合によっては返戻金相当額または一部を,新得財産から破産財団に組み入れることを条件とされることもあるでしょう。

再生手続では,解約返戻金相当額は,資産として清算価値を構成します。
再生では,計画において清算価値以上の支払いをしなければならないという制限があります。
したがって,あまりにも大きい解約返戻金額が発生する場合には,現金化した上で,計画による支払いに充ててしまった方が良い,という判断になり得ます。

(2)契約者貸付の取扱い

生命保険では,解約返戻金の範囲内で,貸付を受けられる場合があります。
これは,法的倒産手続ではどのように,扱われるのでしょうか。
保険会社は債権者となるのでしょうか。

貸付といいますが,契約者貸付の性質について,解約返戻金の一部前払いという解釈のもと,債権者には該当しないとする考えが一般的です。
管財人,再生委員などにより,債権者一覧に挙げるよう指示されることがありますが,ほとんど意味がないことだと思います。

結論として契約者貸付があっても,保険の解約をしなければならない,というようなことにはならないのが普通です。

ただし,解約返戻金があるからといって,破産・再生申立直前に借り入れを行って,費消してしまった場合には,後から効果が否定されることもあります(破産の場合破産財団に相当額を組み入れなければならない,再生の場合清算価値に計上される)こともありますので,注意が必要です。


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