2014年5月1日木曜日

債権回収

事業者であれば,売掛・買掛の取引というのは,多く経験していると思います。

相手方の経営状態が悪化しているのに掛け取引を認めることは,自分の経営も危うくすることにつながりません。
したがって,相手の経営状態を見通すためにも,売掛金の回収サイトは短かいほど良いというのは,言うまでもありません。



しかし,いくら注意していても,相手の経営状態を正確に知ることは通常は出来ないため,不幸にも売掛金の回収に失敗してしまうことがあります。
相手が自分よりも強い立場の取引先だった場合には,未回収の売掛金があるにも関わらず,次の仕事を請け負ってしまい,気付けば売掛金額が相当な金額になっていた,ということもあり得ます。
そのような場合には,月に1回督促するだけ,など半ば諦めた状態で放置していませんか?

売掛金は資産であり,帳簿上は売上が上がっていることになりますから,資金繰りの悪化がなければ,回収まではあまり気を遣っていないということもあり得ます。
しかし,売掛債権は債権に過ぎないため,相手方の状況が悪化すれば,とたんに不良債権と化します。

そして売掛金が回収できないために,最悪の場合には,自社までが連鎖倒産の憂き目を見ることがあり得ます。

また,売掛金は,債権の種類にもよりますが,短期間で時効が完成してしまうことがあります。
そして,請求するだけでは,時効の完成を止めるには不十分です。
売掛金の回収を行うためには,裁判手続を経る必要がある場合があるのです。

売掛金は債権のまま放置してはいけません。
回収の手段を考えましょう。


保全手続

裁判の手続には数ヶ月から,長い時には数年の期間がかかります。
そうなると,相手がその間に資産を散逸させてしまい,裁判に勝ったものの,回収は困難になるという場合が少なくありません。

そこで考えられるのが保全手続です。

これは本案の請求を前提とした迅速な手続で,債務者の資産を自由に処分できなくすることができます。
例えば,債務者が不動産を持っている場合,この不動産の保全手続を行えば,債務者はこの不動産を売却処分したりすることはできなくなります。

そのため,予め保全処分を行ったうえで,本案の請求を行うことができます。
ただし,保全手続は相手方の財産権に対する制約となりますので,相当の担保金を納める必要があります。

保全手続を受けるというのは,かなりインパクトの大きな出来事ですので,これだけでも回収に効果があることがあります。


強制執行

本案の裁判で勝訴判決をもらったからといって,相手が素直に支払ってくるとは限りません。
相手が任意の支払いに応じない場合には,強制執行を検討することになります。

強制執行は,相手の財産を差し押さえて,そこから債権の回収を行う手続です。
ただし,差押え禁止財産を差し押さえることは出来ません。
主な差押え財産としては,不動産や預金債権等の第三者に対する債権などがあります。
動産執行という手段もありますが,回収の方法としてはそれほどスマートではありません。


和解交渉

といっても,強制的な取立てを行うだけでは,自社の経営を危うくするだけ,というケースもあります。
例えば,売掛債権がたまっている相手が,自社の主要な取引先であるような場合,強制的な回収を行うことで,以後,自社の仕事が無くなってしまい売上ががた落ちするようでは,何のために債権回収を行ったのか分からない,ということにも成りかねません。

そういった場合には,取引になるべく影響を及ぼさないように,交渉すべき場合もあります。


債権回収というのは,法律上の権利行使の中では最も基本的な部類ですが,本業をこなしつつこれを自力で行おうとうすると,大変な労力がかかることでもあります。
そのような場合に,専門家である弁護士を利用することは,意味があるのではないでしょうか。

もちろん,弁護士を利用するには弁護士費用がかかりますので,費用対効果の検討は必要でしょうが,手をこまねいて回収できずに終わるよりはずっと良い結果が期待できるのではないかと思います。


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