2014年8月29日金曜日

発信者情報開示仮処分命令の申立

ウェブサイト上で権利を侵害された場合には,プロバイダ責任制限法を根拠に,プロバイダに対して,その情報の発信者に関する情報を開示してもらうことができることがあります。
プロバイダ責任制限法について → こちら



ところで,ネットの世界では,掲示板等のコンテンツ・プロバイダと,書き込み加害者がインターネットに接続するための接続プロバイダは,別であることが通常です。
そして,接続プロバイダは,書き込み加害者に関する個人情報を把握しているでしょうが,コンテンツ・プロバイダは,書き込みのIPアドレスやタイムスタンプ及びユーザーID(携帯電話からの情報発信の場合)しか分かりません。

そこで,まず第1段階として,行うのは,コンテンツ・プロバイダに対してIPアドレス等の情報開示を行うということになります。
そのためには,発信者情報開示請求権を被保全権利として,発信者情報開示仮処分命令の申立を行います。

さらには,第1段階の保全手続に割り出した発信者の接続プロバイダに対し,IPアドレス,タイムスタンプの発信者情報の消去禁止を求める仮処分命令を申し立てます。
やはり,発信者情報開示請求権が被保全権利となります。

2段階の手続を保全により行うのは,発信者情報が消去されてしまう(アクセスログが流れてしまう)可能性があるから,早急に証拠を確保して必要があるからです。

もっとも,場合によっては第2段階の保全については行わずに,直接接続プロバイダに後述の発信者情報開示請求訴訟を提起することにより,アクセスログが消去されずに保存されることを期待することもできます。
ただし,この場合でも,速やかに内容証明郵便等で,提訴の事実とともに,アクセスログの消去をしないことを求めることが必要となるでしょう。

この2段階の保全手続を行ったところで,接続プロバイダに対して,発信者の住所・氏名の開示を求める裁判を起こすことになります。
これは,保全手続で行うことは困難であり,本訴を提起することになります。



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