2014年8月19日火曜日

懲戒解雇はどのような場合に認められますか

懲戒解雇とは,事業者が労働者の責めに帰すべき理由で解雇することです。

法律上は,懲戒解雇という名称があるわけではありませんが,労働者にとっては,再就職の大きな障害になることから,大変なペナルティとなります。

労働者としては,なんとか会社都合退職(解雇)という扱いにして貰いたいため,しばしば労使間の対立の一因となります。

では,懲戒解雇はどのようなときに認められるのでしょうか。

・ 長期間無断欠勤が続いている。
・ 会社のお金を横領した。
・ 会計上の不正を行った。
・ 故意または過失により,業務を妨害して,会社に損害を発生させた。
・ 重大な犯罪を犯して,逮捕された。起訴された。

こういった理由があれば,懲戒解雇は認められやすいのでは無いか,と思いますね。

もっとも,懲戒解雇が認められるには,就業規則に,懲戒の理由となる事由と,これに対する懲戒の種類・程度が明記されている必要があり,かつ,その就業規則が周知されていなければなりません。

懲戒解雇の場合には,原則として退職金も出ませんし,解雇予告(解雇予告手当)による調整も不要で,即日解雇することができるとされています。
ただし,即日解雇については,労働基準監督署長の認定が必要とされています。
(そうでなければ,解雇予告手当を支払うことなしに,即日解雇することはできません。)

実際に懲戒解雇を行う場合には,
・ 被懲戒者を自宅謹慎にさせる
・ 懲戒理由の調査を行う
・ 労働基準監督署に即日解雇の認定をもらう
・ 懲戒解雇をする
といった手順を踏むことになります。

労働者の再就職には非常に不利になるため,懲戒解雇は限定的な運用がされています。

実際には,解雇を宣言してから30日後に退職させる,といった方法をとる場合も多いでしょう。
このような慎重な方法をとったとしても,解雇の有効性については,労働者から争われることもあります。

・ この労働者は懲戒解雇できるだろうか
・ 懲戒解雇を言い渡されたけれど,これは有効だろうか

労働者には重大な問題ですし,使用者にとっても慎重な運用が求められる懲戒解雇,この問題の判断に迷ったときには,弁護士に相談して下さい。


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