2014年8月12日火曜日

裁判上の削除請求

インターネット上のページで,自分の権利が侵害されている場合には,プロバイダが用意している削除要求により削除してもらうこともできます。
ただ,プロバイダとしては,そのページの作成者の表現の自由との兼ね合いから,削除要求があった場合に,何でも削除に応じる,というわけにはいきません。
その判断ができない場合には,削除要求には応じかねる,ということもあり得ます。



そこで,任意での削除要求が認められない場合には,裁判上の請求により,情報の削除を求めていくことになります。

裁判上,削除を求めるには,
(1) いきなり本訴提起する
(2) 仮処分申立をする
という方法が考えられます。

もちろん,本訴を提起したらダメという訳ではありませんが,権利を侵害された状態が裁判の間続くことを考えたら,迅速な被害者救済が期待できる仮処分の方がふさわしいでしょう。

仮処分においては,名誉・プライバシー等の人格権や,著作権等が被保全権利となり,この権利を守るために,仮に削除することが必要不可欠である旨,主張していくことになります。

仮処分により,仮の削除が認められれば,プロバイダとしてもその情報を削除するでしょうから,被害者としては,当面の目的を達成したことになります。

しかし,仮処分はあくまでも仮の処分であるため,その後本訴の手続があると思っておいた方が良いでしょう。

プロバイダ自身が,権利侵害情報に気づきつつそれを放置したことをもって,損害賠償請求を併せて行うような場合には,本訴提起をする必要があるでしょう。
また,仮処分の決定に対して,相手方は本訴の提起を要求することができる(起訴命令)ので,この場合にも,本訴提起をしなければなりません。

なお,すでに権利を侵害された状態が長らく続いている場合には,保全の必要性が認められず,削除の仮処分は認められない可能性があります。
その場合には,本訴提起を行い,それとともに削除しない場合の損害賠償請求を併せて行うことで,自発的な削除を促すことになるでしょう。

いずれにしても,情報発信者に対する損害賠償を求めていく場合には,削除の要求と同時に侵害されているという事実について,証拠を保全しておく必要があります。
証拠の保全については,以前の記事をみてください。 → こちら






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