2014年8月22日金曜日

少年事件における弁護士の役割

少年事件の手続については,以前の記事で解説しました。
以前の記事はこちら → 少年事件の手続の流れ

この少年事件の中で,弁護士はどのように関わるのでしょうか。
少年事件は,捜査(被疑者)段階と家裁送致後(審判)段階に分けることができます。



そして,捜査段階において,弁護士が少年のために活動する場合は,「弁護人」という立場になります。
一方,家裁送致後においては,弁護士は,「付添人」という立場になります。

成人の事件の場合,被疑者段階の弁護人は,辞任・解任により契約が終了しない限り,起訴後の弁護人となりますが,少年事件の場合は,捜査段階の弁護人が,当然に付添人に就任するわけではないことには,注意が必要です。

従って,弁護人として活動する場合には,併せて,家裁送致後に付添人として活動する旨の依頼を受けておく必要があります。
(少年事件は,全件が家裁送致されるため,付添人の出番は必ず出てきます。)


少年が,非行事実そのものを争っている場合には,弁護士としてやるべきことは,成人の事件とそれほど変わるものではありません。
捜査官の取り調べに対して,間違った供述をして罪を認めることがないように,という少年のサポートや,独自の証拠収集,検察官から証拠類が家庭裁判所に送られた後には,それらの検討,などをして,審判において少年が非行事実を行った事実が認定されないように,活動することになります。
ただ,少年審判手続においては,刑事裁判手続のように厳格な決まりがないため,その点には注意が必要です。


一方,少年が非行事実を認めている場合には,むしろ,どのように少年を更生させるか,ということを考えていくことに重点がおかれます。
その点から,被害者がいる事件であれば,被害者との示談の可能性も検討することになるでしょう。
また,家庭環境,交友関係,その他の社会環境といった,少年を取り巻く環境の問題点を検討し,それらの問題を取り除くことができないかどうかを,検討することになります。
当然ながら,少年には非行事実に向き合ってもらい,反省を促すことになります。


家裁送致後においては,少年に対する調査官の調査が入り,審判の結果には調査官の調査結果がかなり反映されます。
したがって,調査官との連携や,場合によっては議論も必要になってきます。
また,事前に家事審判官との面談等を行い,審判に対する意見交換等を行うこともあります。


少年の早期の身柄解放を目指すというのも,弁護人の役割の一つとなります。
捜査段階では,準抗告等による勾留の取り消しを目指し,家裁送致段階においては,鑑別所における観護措置を避けて,在宅観護措置を採用するように働きかけることになります。
また,審判では,少年院送致を避け,保護観察などの社会内での更正手続を選択するよう,調査官や審判官への働きかけが必要となります。

しかし,少年の社会環境がそろっていない段階で少年を社会に戻してもしょうがないので,闇雲に身柄解放を訴えるわけではありません。
当然ながら,前述の環境調整をしっかりすることなどが必要になってきますし,審判手続までの限られた時間では環境調整がしっかりできていないケースなどもあります。
その場合には,民間施設における試験観察を促す等できないかを検討することになります。


少年事件の被疑者段階は,勾留に対する要件が厳しい等の違いはありますが,成人事件と手続的にはあまり異なりません。
しかし,少年審判までの時間は短いため,被疑者段階から審判を視野に入れた活動が必要となります。


なお,家裁送致後に付添人をつけることは,一部の重大な非行以外は必須ではありません。
一部の重大な非行には,私選の付添人がいない場合には,国選付添人が選任されます。
一方,それ以外の場合には,私選の付添人がいなければ,少年は,付添人なしで審判に臨むことになります。

したがって,たとえ被疑者段階では,国選弁護対象事件として,国選弁護人が選任されていても,付添人はいない,という状況になってしまいます。
これは,少年の更生のためにもマイナスであるため,全件に付添人をつけるべきだと考えられています。
私選の付添人を選任する資力がない場合には,弁護士会の少年保護事件付添援助制度を利用して,私選付添人を選任することができます。
(なお,被疑者段階において被疑者国選対象事件でない場合には,弁護士会の刑事被疑者弁護援助制度を,同様に利用して私選弁護人を選任することができます。)


被疑者国選対象事件でない場合には,少年または家族から,私選で弁護士を選任をしてもらうか,あるいは当番弁護の派遣を要請してもらえなければ,少年は付添人なしで少年審判に臨むことになる可能性が高い,ということは覚えておくべきでしょう。


子どもが捕まってしまった,というときには弁護士にすぐ相談するか,あるいは当番弁護士センターに連絡しましょう。

大阪府内の警察への当番弁護士派遣要請の連絡先は,06-6363-0080です。


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