2014年8月20日水曜日

債務整理を予定していない借金まで整理することになる場合。

任意整理手続というのは,整理の対象とする貸金業者を選択できる手続です。
ということは,Aという業者を任意整理するものの,Bという業者はそのまま支払い続ける,というような選択をすることもあり得ます。
例えば,Bという業者については,利息も最初から高くないし,あと10万円程度なので,自力でそのまま返しきってしまった方が良いだろう,という判断をすることもあり得ます。

しかし,A社について債務整理を行うことによって,B社についても整理の対象となってしまう,ということが,起こりえます。



いくつかの場合を見ていきましょう。

(1)債権譲渡

任意整理のために弁護士が介入した後に,A社がB社にあなたに対する債権を譲渡したらどうなるでしょうか。
債権者は,B社になりますね。

ということは,あなたはB社に対する債権を,任意整理の対象とすることになります。

B社は,もともとA社の持っていた債権と,もともと自分の持っていた債権の,2本を持つことになりますが,前者だけを整理して,後者はそのままにしておく,ということは,基本的にはできないと考えた方が良いでしょう。


(2)代位弁済

契約書をよく読んでいないと分からないかも知れませんが,B社がA社の保証会社として入っている場合などがあります。

すると,任意整理のために弁護士が介入した後に,B社がA社に対するあなたの負債を肩代わりして,返済する,ということが起こります。

すると,B社は,あなたに対する求償債権を取得します。

B社は,A社に代位弁済することにより取得した求償債権と,もともと自分の持っていた債権の,2本を持つことになりますが,やはり,両方をあわせて整理しなければなりません。

(3)合併

A社がB社と合併した場合はどうでしょうか。
合併してできた会社は,A社かも知れませんし,B社かも知れませんし,C社という名前になるかも知れません。

どちらにしても,旧A社の債権と,旧B社の債権は,合併してできた会社に帰属することになります。

そうすると,最初は,旧A社の借金だけを整理する予定だったのに,旧B社の借金も合わせて整理することになります。


これが,結構深刻な事態になりうるのが,整理の対象とする予定のない住宅ローンなどが絡んでくる場合です。
こういった可能性がないかは,あらかじめ検討はしますが,絶対ではない,ということは知っておいていただきたいと思います。



摂津市,吹田市,茨木市,高槻市,島本町で,債務整理に関するご相談は, 大阪北摂法律事務所まで。 もちろん他の地域からのご相談も受け付けています。 お気軽にどうぞ。