2014年8月8日金曜日

インターネット上の情報の証拠保全

インターネット上で,名誉毀損やプライバシー侵害等の人格権損害を受けた場合には,その情報を削除させること,そして,受けた損害について侵害者に対する損害賠償請求を行うことが考えられます。



しかし,手続を誤ると,削除と損害賠償請求を両立させることは不可能になってしまいます。
損害賠償請求をするには,「権利を侵害された事実」を証明する必要があります。
この場合の侵害行為は,インターネット上での情報発信なのですから,その情報が削除されてしまっては,権利を侵害された事実は立証困難となってしまうからです。

そこで,ページの管理者に削除されてしまう前に,あるいは,削除の要請をプロバイダーに対して出す(あるいは削除のための裁判手続の利用の)前に,当該ウェブページの情報を保全しておく必要があります。

ウェブページというのは,データに過ぎません。
ウェブページが情報となり得るためには,そのページに書かれた情報の存在及び内容と,その情報とURLとの結びつきが必要になります。
知財高判平成22年6月29日は,「インターネットのホームページを裁判の証拠として提出する場合には,欄外のURLがそのホームページの特定事項として重要な記載であることは訴訟実務関係者にとって常識的な事項である」としています。

それでは,どのような方法をとれば良いのでしょうか。

(1)そのページをプリントアウトした紙を提出する

この場合,ページに書かれた情報の存在と内容については表示されていますが,それがどこに掲載されていたのかという情報が抜けています。

最低限,印刷する際に,印刷した日付とURL情報が分からなければ,情報とURLの結びつけができなくなってしまいます。

逆に,これらの情報があれば,問題となることは少ないでしょう。

(2)画像キャプチャ

ブラウザの画面をキャプチャすれば,URL情報とともにページの情報を記録することができます。
また,データには記録した日付が表示されるので,一見良さそうです。

しかし,これも偽装ができてしまいます。
極端な話,HTMLファイルを作ってブラウザ上で表示させ,その後ブラウザのURLの部分に別のURLを打ち込んでしまえば(移動しない),あたかも,そのURLのページで権利侵害が行われているような証拠偽造はできます。

したがって,画像キャプチャは,証拠としての証明力は低いでしょう。

(3)動画

画像以上に偽装が難しくなるため,証明力は高くなります。
URLを打ち込んで,そのウェブページに移動したところ,権利侵害の画面が表示された,という流れを記録しておけば良いでしょう。

問題は,面倒であることです。
また,動画であるが故に見づらいことも考えられます。
その場合は,別途紙媒体も用意しておく必要があるでしょう。


いずれにしても,損害賠償の請求を行うためには,権利を侵害されているシーンを記録しておく必要がありますので,問題のあるページを見つけたときには,焦りはあると思いますが,慎重に対処しなければなりません。


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