2014年8月5日火曜日

刑罰の種類

日本の刑事裁判制度において,定められている刑罰にはどのようなものがあるでしょうか。

日本の法律で定められている刑罰には,以下のようなものがあります。



(1)死刑
刑事施設内において絞首することによって行う生命刑です。
死刑制度の存置に関しては,国内的・国際的にも賛否が大きく,死刑の執行は慎重に行われています。

(2)懲役
刑事施設に拘置して所定の作業を行わせるという自由刑です。
刑期の定められた有期懲役と,定めのない無期懲役があります。
有期懲役は1か月以上20年以下ですが,刑を加重する場合には最長30年まで,減軽する場合には1か月未満の期間を指定することができます。

後述の禁錮との違いは,所定の作業を行わせるかどうか,という点です。
作業を行うこと事態が刑罰になりますので,この作業による報酬は出ません。
ただし,受刑者の更生等の観点から,わずかですが作業報奨金が支給されています。

(3)禁錮
刑事施設に拘置する自由刑です。
刑期の定められた有期禁錮と,定めのない無期禁錮がありますが,無期禁錮の言い渡される可能性はほとんどありません。
また,懲役に比べても数自体少なく,実刑になる割合も低くなっています。
有期禁錮は1か月以上20年以下ですが,刑を加重する場合には最長30年まで,減軽する場合には1か月未満の期間を指定することができます。

作業を行う必要はありませんが,願い出ることにより懲役刑と同じく刑務作業を行うこともできます。
作業を行うと,作業報奨金が支給されます。

(4)罰金
強制的に金銭を取り立てる財産刑です。
原則1万円以上ですが,軽減する場合においては,1万円未満に下げることができます。
刑法で上限は定められておらず,ここの条文で罰金額の上限が決まります。

罰金を完納することができない場合は,代わりに一定期間労役場留置することができます。
刑の言い渡しの際に,労役場留置の期間を定めなければならないことになっています。
例えば,「被告人を罰金20万円に書する。これを完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間,被告人を労役場に留置する。」といった主文となります。
この場合,20万円全額を納められなければ40日間,10万円だけ納められなければ20日間,労役場留置となります。

労役場留置は,労役場に留置して所定の作業を行わせることになります。


(5)拘留
刑事施設に拘置する自由刑です。
刑期は1日以上30日未満となり,この点で禁錮刑と異なります。

(6)科料
強制的に金銭を取り立てる財産刑です。
1000円以上1万円未満になり,この点でのみ罰金と異なります。
完納できない場合に労役場留置となるのも,同様です。

(7)没収
犯罪に使用した物など一定の物件を没収することであり,単独で言い渡されることはありません。

(8)追徴
没収すべき物件を没収することができない場合,その価額を追徴することができます。


以上が,日本における刑罰です。

懲役,禁錮,罰金には,執行猶予という制度があります。
執行猶予を言い渡すことができるのは,3年以下の懲役刑,禁錮刑を言い渡す場合,50万円以下の罰金刑を言い渡す場合です。
もっとも,罰金に執行猶予が付されることは,ほぼありません。

執行猶予は,一定期間刑の執行を猶予するというだけであり,無罪放免とは全くことなります。
そのため,執行猶予期間中に,再び罪をおかし,実刑判決が確定すると,執行猶予は取り消され,前の刑と今回の刑の両方を併せた期間,服役することになります。

しかし,執行猶予の期間が経過するまで執行猶予が取り消されなかった場合には,刑の言い渡しは効力を失います。
したがって,「以前に禁錮以上の刑を受けたことがない」という状態になるため,次に刑を受けるときには,「再度の執行猶予」のように厳格な要件には当てはまらないことになります。
法律上も「前科」とはならないため,資格制限等もなくなります。
(ただし,刑の言い渡しを受けた事実そのものがなくなるわけではないため,後の罪に対する量刑には影響があります。)


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