2014年8月28日木曜日

(事例)保全手続が効果を発揮した例

債権回収の事例を紹介します。

売掛金を払ってもらえない場合,もともと期限を守れないくらいですから,弁護士が代理人として取り立てを行ったところ,相手は必ずしも任意交渉の段階で払ってくれるとは限りません。
そこで,任意交渉ではらちがあかないという見極めをつけたら,裁判手続の利用を検討します。



しかし,裁判手続を行っている間にも,相手の資産はなくなってしまうかも知れません。
そうならないために,利用を検討するのが,民事保全手続です。
まったくそのあてもないのであれば,裁判をしても回収できないか,あるいは相手が先に倒産手続に入ってしまうことを,覚悟しなければなりません。

債権回収の際に利用する民事保全手続は,相手に属する資産を,仮に差し押さえるという仮差押えになります。

私が経験した一例では,依頼者は建設会社,相手はその元請けであり,請負報酬を支払ってもらえない,という相談でした。

依頼者の報酬債権は,すでに支払期限が来ているため,相手が滞納していることは明らかでした。

そこで,相手にどのような資産があるかを検討したところ,公共工事の工事代金がまもなく入ってくるらしい,ということが分かりました。
公共工事の代金を仮差押えするために,民事保全の手続を進めました。
民事保全の手続は,迅速に進めなければなりませんので,申立てまではとても慌ただしくなります。

何とか資料等をそろえて,申立を行いました。
私の依頼者は,保証金も差し入れて,仮差押え命令が送達されました。

債権が仮に差し押さえられたら,第三債務者は,債務者に対する支払いをできなくなります。
その代わりに,供託がなされるのが普通です。

供託がなされると,その供託金を巡って,依頼者とその相手の裁判が始まる,というのが正常な流れといえます。
保全手続は,仮の手続に過ぎず,本訴により権利を確定しなければ,差し押さえた債権を自分のものにすることは,できないからです。

さて,この事件はどうなったでしょうか。

結論から言うと,本訴提起の前に,保全申立取り下げ,ということになりました。

相手が,依頼者に対して,請負報酬をきちんと払ってきたのです。

最初は,払う様子もなかった相手方が,なぜ保全をきっかけに支払いを行ったのか。
それは,保全により第三債務者に対して,債権が差押えられるような状態にあることが,分かってしまうからです。

本件で差し押さえたのは,公共工事の代金でした。
このような場合,差し押さえられたまま放っておくと,次の公共工事は受けられなくなる可能性もありますね。
企業の存続問題にも関わります。

そのため,無理をしてでもお金をかき集めて,依頼者に対して支払ってきたのでしょう。
もちろん,役所に対しては,理不尽な申立を受けたけれど,なんとか説得して取り下げさせた,というような説明をするのでしょうが。
(はっきりいって,このような弁解は,第三債務者には通じませんけれどね。)

ということで,有効な保全手続は,場合によっては本訴よりもはるかに効率的に,権利実現に繋がる,ということがあります。



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