2014年8月15日金曜日

子どもが相手に連れ去られてしまったら

離婚間近の夫婦や,離婚の成立した夫婦の間で,問題となることがあるのが,子の取り合いです。

婚姻中は,子は「共同親権」といって,夫婦どちらもが親権者です。
一方,離婚の際には,親権者を定めなければなりません。

離婚を見据えた段階で,どちらか一方が,強引に子どもを連れ去ってしまう事例。
あるいは離婚成立後に,非親権者が面接交渉の機会などを利用して,強引に子どもを連れ去ってしまう事例。
などが,起こりえます。

これらは,違法だから返せ,と言って,相手方が素直に返してくれる,というものでもありません。

そこで,これらの事態が起こったときに,取り得る法的な方法がいくつかあります。

(1)子の引き渡しを求める調停・審判

家庭裁判所に調停を申立てを行う方法です。

離婚成立前に,連れ去られた子の引き渡しを請求するような場合。
離婚後,相手方に連れ去られた子の引き渡しを請求するような場合。
これらの場合には,まずこの調停手続の利用を考えます。

離婚成立前の場合には,子の監護者の指定もあわせて申し立てる必要があります。

子の引き渡しは,子どもの生活環境が大きく変わることになるため,子どもの健全な成長に悪影響を与えることがないよう留意しつつ,子どもの年齢,性別,性格,就学の有無・状況,生活環境等諸般の事情を,子どもに精神的な負担がなるべくかからないように十分配慮して,子どもの意向を尊重した取り決めを行うように,話し合いが進められます。
単に,今まで一緒に暮らしていたのに,突然連れ去られた,という事情だけで,引き渡しが認められる,というわけではないことには,注意が必要です。

緊急性がある場合には,審判前の保全処分により,仮の引き渡しを求める決定を受けることもできます。

(2)人身保護請求

緊急性がある場合には,人身保護請求の利用も考えられます。

人身保護請求は,人身保護法に基づき認められる請求で,法律上はだれでも申し立てることができることになっていますが,子の引き渡し請求の場合には,連れ去れられた親が申し立てるのが通常でしょう。

相手方のもとに子どもをとどめ置くことが,子どもに悪影響を及ぼすおそれがあり,早急に引き取る必要制がある場合には,利用を検討できます。
しかし,人身保護請求は,相手による拘束の違法性が顕著であり,他の方法では救済の目的を達せられないことが明白である,というような場合に,例外的に認められる手続です。

非常に迅速な手続ではありますが,離婚成立前の相手方の連れ去りについては,相手が共同親権者であるという点もあり,請求が認められる可能性は高くありません。
また,子どもが自分の意思で,相手方の元に行ったような場合なども,使うことはできないでしょう。

なお,人身保護請求は,弁護士による代理が原則となります。
法律上も,請求者本人による申立は例外的にしか認められていませんので,かならず弁護士に相談してください。





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