2014年3月27日木曜日

事業承継(2) 経営承継円滑化法 その1 対象となる中小企業

前回は,事業承継対策を行わなければ,せっかく築き上げた事業を,次の世代に継承することが出来なくなる可能性があることを書きました。
前回の記事はこちら。

今回は,民法の例外として定められた「中小企業のおける経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)」を紹介します。


経営承継円滑化法は,平成20年5月に制定され,同年10月に施行された新しい法律です。

その第1条において,「この法律は,多様な事業の分野において特色ある事業活動を行い,多様な就業の機会を提供すること等により我が国の経済の基盤を形成している中小企業について,代表者の死亡等に起因する経営の承継がその事業活動の継続に影響を及ぼすことにかんがみ、遺留分に関し民法(明治二十九年法律第八十九号)の特例を定めるとともに,中小企業者が必要とする資金の供給の円滑化等の支援措置を講ずることにより、中小企業における経営の承継の円滑化を図り,もって中小企業の事業活動の継続に資することを目的とする。」と定められているとおり,まさに中小企業の経営承継の円滑化(事業の継続)を目的としています。
そして,かかれているとおり,①遺留分に関する民法の特例を定めること(第2章)と,②事業承継時の金融支援措置(第3章),がその方法として予定されています。
ここで,この法律の対象とする中小企業とは,どのような事業者のことでしょうか。
それは,第2条に書かれています。

①  資本金の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であって、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種及び第五号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
②  資本金の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であって、卸売業(第五号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
③  資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であって、サービス業(第五号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
④  資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であって、小売業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
⑤  資本金の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの
要するに,業種ごとに異なりますが,資本金・出資金が一定額以下か,従業員が一定数以下の事業であれば,この法律に言う「中小企業」に該当します。

このような会社又は個人であれば,事業承継にあたって,経営承継円滑化法の規定を使うことができます。

次回は,経営承継円滑化法における遺留分に関する民法の特例を紹介します。



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