破産手続についてまとめたページです。(2020年7月1日改訂)
法人の破産手続については,別のページで扱います。
1 破産手続とは
破産手続とは,自分の収入や財産で負債を支払えなくなった場合に,自分の持っている資産で各債権者(貸主)に対して平等な割合での弁済(配当)を行う手続です。
さらに,個人破産の場合には,破産手続において弁済できなかった負債について,もう支払わなくても良い,という「免責」を受けることを求めて,破産手続の開始とともに免責許可の申立てを一緒にすることになります。
2 同時廃止手続と管財手続
個人破産の場合には,債権者に対して配当するような資産が何もないという場合も少なくありません。
なぜならば,持っている資産のすべてを配当のために差し出す必要があるわけではないからです。
生活に必要な家財道具のほとんどや,一定の現預金,一定の価値のない資産は,換価の上配当する必要は無いからです。
このように,何も配当することが申立時点からはっきりしている場合には,「同時廃止」といって,破産手続の開始と同時に,配当なしで破産手続が終わる決定が出ることもあります。
(この場合は,免責許可の問題だけが残ります。)
一方,破産手続の中で,配当すべき資産がある場合(ある可能性がある場合)には,裁判所から選任される管財人に,その資産を引き継がなければ成りません。
管財人が選任されて,資産の換価と配当までを行う破産手続を,「管財手続」といいいます。
破産者は,管財人の調査等に協力する義務があります。
資産が何もなくても,前記の免責の関係の調査が必要なために,管財手続が選択される場合もあります。
(このような場合や,管財人の換価業務がうまくいかなかったために債権者への配当がゼロになってしまう場合には,「異時廃止」といって,無配当で破産手続が終了することになります。)
申立の段階で,同時廃止手続か管財手続のどちらにするかを最終的に決定するのは,裁判官です。
破産者にとっては,費用面も含め,同時廃止手続の方が負担が少ないため,なるべく同時廃止にしたいものです。
しかし,資産隠しは,詐欺破産罪という刑事罰まで定められた犯罪行為ですので,許されません。
換価すべき資産が少しで容易に換価できる一方,破産申立のための費用(弁護士費用を含む)が足りていない場合には,破産手続申立の前に適正価格での換価を行ったうえで申立費用に充て,手続自体は同時廃止で進められる場合もあります。
3 破産手続の費用
(1)弁護士費用(基本料金)
当事務所における基本費用は以下のとおりです。(個人破産)
同時廃止の場合 24万円~
少額管財の場合 36万円~
個人事業主の場合(個人事業を行っていた場合の借入れが負債に繋がっている場合を含む)、法人の場合は、いずれもほぼ間違いなく管財手続となります。
費用 54万円~
様々な要素が処理難易度等に影響しますので、相談のうえ増額があり得ます。
また、事務所のマンパワー不足でお引き受けできないケースもあります。
夫婦や、法人と連帯保証人(代表者等)といった特別な関係で、一緒に破産手続を取る場合には、一般的に単純な合計金額よりは低く抑えることが出来ます。
(後述の経費実費の部分においても)
○過払回収報酬
回収できた過払金の15%相当額
別途,消費税を頂きます。
着手金は,受任後着手時点で発生する報酬です。
申立報酬金は,申立てにより発生する報酬です。
事件の難易度によって,基本料金以上の金額を定めさせて頂く場合もありますので,ご了承下さい。
場合によっては,管財手続であっても,同時廃止と同程度の報酬とさせて頂く場合もあります。
料金は個別の契約書に明記されますので,そちらを必ずご確認下さい。
(2)実費
同時廃止の場合には,数万円の実費が必要となります。
管財手続の場合には,20万円以上の実費が必要となります。
弁護士費用については,分割での納付が可能です。
着手時点にて,無理に弁護士報酬やその他の費用をご用意いただく必要はありません。
(消費者金融等の残り融資枠を使って,無理矢理着手金相当額を借りてくるのはやめて下さい。)
4 過払い回収手続との関係
破産手続開始の申立にあたっては,債権者の一覧を提出する必要があり,その際,高金利の貸し主の取引については,利息制限法の制限利率の範囲内に引き直し計算する必要があります。
引き直し計算の結果,過払い状態になっていた場合には,過払金が依頼者様の資産となります。
そして,過払金回収を申立前に行ってしまえば,弁護士費用や実費へ充てることが可能になりますので,負担が軽くなるのです。
(但し,過払金の金額や回収に要する期間との兼ね合いで,必ず回収を申立前に行うべきであるとは言えません。申立前に回収しなかった過払金債権は,管財人に引き継がれます。)
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