2014年3月18日火曜日

労働問題を解決するには,どのような方法がありますか

労働事件にもいろいろありますが,どのような方法で解決するのでしょうか。




任意交渉

(1)専門機関を使わない任意交渉

もちろん,仲裁機関や裁判機関を使うことなく,当事者間の交渉で解決するような場合もあります。
当事者どうしでは話がうまくまとまらない場合でも,(特に労働者を)弁護士が代理することにより,話が進むことも少なくありません。

ですので,労働事件に関して,自分だけで解決しようとするのではなく,専門家である弁護士に相談するというのは,意味のある行動です。


(2)会社内部の機関の利用

会社が,労働者の苦情相談窓口を設置している場合もあります。
例えば,セクハラの場合などには,このような苦情相談窓口を利用することも考えられます。

もっとも,会社内部の組織であるため,解決には役に立たない可能性もあります。


(3)会社外部の機関の利用

外部労働組合等の外部の機関が利用可能な場合もあります。

以上は,全て任意交渉ですので,限界があります。
任意交渉にて解決が期待できない場合には,裁判手続の利用が考えられます。


あっせん手続

(4)あっせん手続

都道府県労働局ごとに,あっせん機関である紛争調整委員会が設けられています。

手続費用は無料であり,労働問題の専門家が担当しますので,迅速にあっせん案が示されることが期待できます。

しかし,相手方が交渉のテーブルに着かなかった場合や,あっせん案に合意しない場合には,その案に強制力はないため,無駄足になってしまう場合もあります。
また,あっせん手続で対応していない問題もあるため,注意が必要です。

あっせん案に基づく合意は,通常の和解契約と同様の効果です。
したがって,約束を守らなかった当事者に対し,直接強制執行を行うことは出来ません。


裁判手続

(5)労働審判

労働審判は,裁判所における手続で,当事者双方の主張を踏まえ,審判を下す手続です。

期日は3回までと決められており,早期の解決を目指す手続であるため,弁護士が代理人として行うのが通常のケースです。
(法律上は,本人だけでも遂行できる建前になっています。)
ただし,当事者からの話を直接聞く必要があるため,代理人弁護士のみで出席するのではなく,当事者の同行が求められます。

労働審判の手続は,通常の訴訟の半額程度の手続費用がかかります。

裁判官(労働審判官)を含む3名の労働審判委員会による合議により判断が下されます。
また,労働審判の席上にて和解をすることも可能です。

労働審判による判断に不服がある当事者は2週間以内に異議を申し立てることができます。
異議を申し立てることにより,通常の訴訟手続に移行します。
その場合には,通常の訴訟に必要な手続費用から,すでに納められた手続費用を引いた差額を納めることになります。

審判手続き中に和解成立した場合や,審判に異議が出されなかった場合には,確定判決と同様の効力が認められますので,その違反に対しては強制執行の手続も可能になります。

弁護士の代理が事実上欠かせない手続ですので,弁護士に依頼したのでは費用倒れになってしまうような請求を行いたい場合には,前述のあっせん手続や,後述の簡易裁判所における調停手続を利用した方が良い場合もあります。


(6)通常の訴訟手続

労働審判に対する異議で通常の訴訟手続に移行する場合について書きましたが,必ずしも最初に労働審判を申し立てなければならない,という訳ではありません。

場合によっては,労働審判を抜かして,訴訟提起することも考えられます。
請求する金額,内容に応じて簡易裁判所,地方裁判所が管轄となります。

訴訟手続中にも和解は可能です。
和解が成立せず,取下・認諾・放棄等,裁判を終わらせるべき事情がない場合には,最終的に裁判官が判決を下すことになります。
判決が確定した場合には強制執行可能になります。


(7)仮処分

正式な裁判手続には時間がかかるため,解雇や異動等の有効性を争いたい場合も,結論が出るまではその状態に甘んじないといけないならば,労働者は著しく不安定な状況に置かれます。
そこで,暫定的に,今までの状態を続けることを維持する決定を,得ることが必要になってきます。

仮処分は暫定的な手続とは言え,仮処分が認められるということは,労働者側の請求を認める根拠が一定程度認められ,暫定的な決定を行う必要性がある,と裁判官に判断されたことになるので,インパクトはあります。
そのため,仮処分手続中に和解を行うこともできます。


(8)その他の裁判手続

簡易裁判所における民事調停,簡易迅速な少額訴訟手続などを利用することも可能です。
金銭的請求であれば,支払督促を使うという方法もあります。

ただし,支払督促は内容に争いのあるような場合には向きませんし,少額訴訟手続は多様な論点を含んでいるような場合には向きません。
(いずれも,通常の訴訟手続に移行してしまいます。)



以上のほか,労働基準監督署への報告により,会社に対する指導を促すことが有効な場合もあります。
違反行為を,労基署に告訴・告発を行うことにより刑事手続に発展する可能性もあります。


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