成年後見制度は,判断能力の衰えた人の財産管理や身上監護を,後見人が行うための制度です。
しかし,判断能力が衰えたといっても,日常生活の多くのことをまだ自分でやっている,という人にとっては,成年後見制度の利用というのは抵抗があるかも知れません。
しかし,成年後見相当であるのに,いつまでも成年後見を利用しなかった場合には,本人にとって不利益が生じる可能性もあります。
① 契約できない
入院や介護等,生活に必要なサービス契約を結ぼうと思っても,本人の判断能力が相当でないということが明らかであれば,そもそも契約を結ぶことを断られる可能性があります。
② 不利益な契約を結んでしまっても取り消すことが出来ない
悪徳商法等は,後見人の取消権行使により取り消すことができます。
しかし,成年後見制度を利用しない場合には,詐欺による取消等の要件を満たす必要があり,取り消すことは困難となります。
③ 財産管理の問題
後見制度を利用せずに,家族や知人に預貯金口座のお金の管理を任せている人もいます。
しかし,本人以外による預貯金の引き出しには,本人からの個別の代理権授与が必要であるはずです。
とくに,急な入院等で一時的にまとまったお金が必要になったときなどに,本人でないためにお金を下ろせない,などといった事態になってしまうこともあり得ませす。
こういった問題が起こった時に,後見申立を行うことによって,不利益が回避されるケースも多いでしょう。
実際,多くの成年後見申立は,銀行などで,成年後見の申立をしてください,と言われて初めて申し立てる,という事が多いようです。
しかし,特に,悪徳商法などの事案では,後から成年後見申立をしても,こうむってしまった損害を取り戻すことは困難なことがあります。
そのため,判断能力の低下が認められる場合には,後見制度の利用を考えるべきでしょう。
なお,抵抗があるという心情も十分に理解できます。
本当に制度の利用が必要なのか,適切な手続は,後見・保佐・補助のいずれか,など慎重に検討しながら,後見開始の申立を進めるべきでしょう。
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