2014年6月20日金曜日

消費者事件とは

「消費者事件」という言葉を聞くことがありますが,どういう事例の事をいうのでしょうか。

一般に消費者事件というときの「消費者」というのは,事業者ではない個人というニュアンスで使われています。
したがって,個人的な経済活動の中で巻き込まれてしまった事件が「消費者事件」であり,事業者が事業活動の中で巻き込まれた事件は消費者事件とは言いません。
もちろん,個人事業者であっても,事業とは関係のないところで巻き込まれた場合には,消費者事件と呼んで差し支えないケースもあるでしょう。




それでは,なぜ消費者事件は,一般の事件とは区別して,問題とされるのでしょうか。

それは,法的には対等であるはずの契約当事者ではあっても,知識・情報の格差があり,実質的には消費者側が圧倒的に不利益になっている,という場合であるからです。
中には,詐欺そのものと評価できるような契約もあります。


消費者事件が,難しいと言われることもありますが,どうしてでしょうか。

それは,知識・情報の格差があることから,消費者側は,自分がだまされたという感覚をなかなか持たないため,発覚した時には取り返しが付かない状態になっている,という場合が多くあるからです。
また,相手がその取引の専門家であるのに,消費者側は素人であるため,その取引の妥当性を争うにも,圧倒的に武器が少ない,という状況にあるのが普通です。


では消費者事件にはどのような物があるでしょうか。

消費者として取引を行うケースにおいて,トラブルが発生した場合には,すべからく消費者事件ということも出来るでしょう。
そのため,消費者事件の種類は無数にあります。

必ずしも,相手方事業者が違法行為を行っている,という訳ではありません。


多重債務問題も,消費者事件のひとつ,といえるでしょう。
相手の金融業者が違法金利で貸付を行っていたのであれば,そこを正して権利主張すれば良いのですが,違法な金利での借入れはないけれども,返済に窮している,という人は多くいます。
そのような場合,相手の「過剰貸付」という違法性を追求できる場合もあるでしょうが,通常は,任意整理で返していく方法を考えるか,個人再生や破産等の法的倒産手続を取る,というのも正しい解決方法のひとつです。


住宅建築やリフォームのトラブルなどは,事業者としては当然適法であり,また契約自体も有効,というのがほとんどです。
しかし,工事内容に不満がある,という時に事業者の責任を追及するのはそう簡単ではありません。
なぜならば,相手が専門家で,こちらは素人,そして情報も圧倒的に相手が持っているからです。

住宅などに限らず,ありとあらゆる商品・サービスに同じようなことが言えるでしょう。

金融商品を巡るトラブルなどもそうです。
違法な金融商品を勧める,などというケースももちろんありますが,高度に専門的過ぎてよく分からない商品を買わされてしまい,気付いたら大損が出ていた,といったケースもあります。


また,前述のように,詐欺そのものといった事件もあります。
しかし,様々に存在する悪質商法が,詐欺であると立証するのは,それほど簡単ではありません。
詐欺だから取り消しうる,と判断される時には,すでに相手方事業者自体が存在しない,倒産してしまっている,などということも珍しくありません。

初めから悪質商法で消費者をだましてやろう,と考えているような事業者の場合,被害を回収するのは,そう簡単ではありません。
収益を隠蔽してしまっており,それを見つけ出すことが容易ではないからです。


消費者事件に巻き込まれないようにするには

いったん巻き込まれてしまうと,権利の回復が困難な消費者事件,それには巻き込まれないようにするに越したことはありません。
しかし,現代社会において消費活動を行わない,などという生活が成り立たないことは明らかです。


したがって,まず怪しいもの,理解できないものには近づかない,という姿勢が大切でしょう。
こんなの当たり前だと思いませんか。
しかし,世の中には,儲かるから,という言葉だけでそれを信じて手を出してしまう人が,信じられないくらいたくさんいるのです。
私は大丈夫だと思っていませんか。
しかし,マルチ商法などは,自分の知り合いから魔の手が伸びてくることもあるのですよ。
それも踏まえて,私は大丈夫,と言えるようにするべきでしょう。


次は,信頼できるサービスを見極める目を養うことでしょう。
値段だけ比べて,こちらが良い,と判断するのはどうでしょうか。
安い会社はどこでコストカットしているのか,それを知るのは容易ではありませんが,何か理由があるのではと,疑うくらいの意地悪い目を持っていてもよいでしょう。
もちろん,経営努力により安価なサービスを実現している事業者もいますので,安かろう悪かろう,という安易な判断も良くないでしょうが。
(知り合いでもない弁護士を探さないといけない場合の選び方についても同じですね。)


あやしいと思ったら,契約前に専門家のチェックを受ける,というような慎重さも必要かも知れません。
当事務所ではそこまでは必要でないと思いますので,標準メニューとしては提供していませんが,個人向けの顧問契約をサービスとして提供している法律事務所もあるようです。


そして,特に悪質商法に狙われるのは弱者である,という観点も忘れてはなりません。
契約をすべきでないのに,判断能力が劣っているために,簡単に契約を結んでしまったようなケースでは,本人の自由な経済活動について必要最小限の制限を加える必要があったと言えるでしょう。
本人に判断能力が不足している場合には,成年後見等の手続が必要になります。


それでも巻き込まれてしまったら
自分が巻き込まれている,と判断することも難しいケースはありますが,気付いた場合には,早めに弁護士に相談して下さい。
(ただ,前述のように,そう簡単に解決できるわけではありませんので,正直なところ有効な打つ手がない,というケースもあります。)



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