2014年6月23日月曜日

仕組み債被害

仕組債という言葉を聞いたことがありますか。

聞いたこともないし,内容の想像もつかない,という人も多いのではないかと思います。
仕組み債は,金融商品の一種です。



金融商品というのは,金融市場で取引される商品であり,株式等の現物商品も含む概念ですので,金融商品であるからといって,リスクが高いというわけではありません。

しかし,金融商品の中には,どういう商品なのか非常に理解が難しい,というものも存在します。
仕組債とは,利息と元本の償還を受けることになる,という点では,一般の債券と変わるところはありません。
オプション,スワップといったデリバティブ取引を組み込むことにより,一般の債券では得られない効果を生むことができます。

例えば日経平均株価の終値が上がるほど金利が上がるが,一定以下であれば金利はゼロとなる,というような仕組債は,割合その内容は分かりやすいでしょう。
日経平均が上がるほど,債券を買った人はもうかる,という図式になります。

このようなシンプルなものばかりではありません。
複雑であり,リスクも大きな商品が,極めて多種多様に開発されています。

買い手が,このようなリスクを理解しているでしょうか。

例えば,上述の,とてもシンプルな仕組債でも,儲かると思って購入したのに全然利益が出ないどころか,早期償還で損をしてしまった,などという話もききます。
ご存じの通り,日本の株価は最近まで低迷していました。
それこそこの仕組債では利息の配当が一切発生しないような,株価でした。

仕組み部分に為替相場が連動しているような仕組債もあります。
超円高が続いた間,このような仕組債では全く利息が発生しません。

ましてや,複雑な仕組債において,利益が発生するかを,素人が判断できるでしょうか。

売り手は,必ず儲かる商品です,といって仕組債を売ります。
もちろん,断定的判断は許されませんので,もっと婉曲な表現にはなるでしょう。
日経平均が上振れれば,通常の債券よりずっと大きな利息が発生するのですから,勝てば大きい,ということ自体に間違いがありません。

しかし,逆の場合にどうなるのか,というリスクがきちんと説明されていることはそれほど多くはありません。
利息の配当は無く,満期での償還においても元本割れ。

これは,債券の売り手との勝負に負けたということです。

債券の売り主は,メガバンクやメガバンク系の証券会社,そして大手の証券会社などです。

そして,仕組みをよく検討すれば,売り手のリスクは一定限度に抑えられていることが分かります。
一定以上の利息を受け取った場合には,早期償還により強引に償還が行われ,売り手に一定以上の損失が生じないようになっているのです。
同じ商品であるのに,逆は,無利息のまま20年先まで償還が行われないことも珍しくありません。

相手はプロ。
そして,買い手にとってハイリスク・ローリターンに設定された仕組み。
これで勝てると思いますか。

全て理解するのも難しい商品を,儲かるだろうという考えで,購入する。
そもそも全て理解できたならば,異常な不平等を感じて,買うことを控えるのが通常の判断だとおもいます。

結局,仕組債を購入して損失を出した人のほとんどは,仕組債の仕組みと,そのリスクをほとんど理解しないまま購入してしまっています。
売り手が儲けるために開発した商品です。
決して,取引先にお得な商品を紹介したわけではありません。

こうして仕組債では,多大な不利益をこうむる人が出ました。

ターゲットとなったのは,中小企業や市町村などが多かったようです。
為替などのリスクヘッジの必要がほとんどないような企業も多かったようです。

こういった仕組債被害の回復というのは,それほど容易ではありません。
なにしろ販売者はプロです。
しかし,泣き寝入りであってはいけないと思います。




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