2014年5月20日火曜日

事業承継(6) 相続人からの強制的な株式買取

株式の譲渡制限会社においては,相続等の事情で,株式が会社の経営に関係の無い人に移転してしまう場合に備え,一般承継人に対して株式を会社に売り渡すように請求し,強制的に取得できるようにする制度が,会社法には定められています。

この制度の利用により,会社経営に全く関係ない第三者を排除することができる点で,有用です。



この制度を利用するための要件は,次のようになっています。


1 定款の定め

この制度の利用のためには,定款に定めがあることが必要です(会社法174条)。
したがって,定款への定めをするために,株主総会の特別決議が必要になります(同法466条,309条2項11号)。

2 1年以内の請求

一般承継(相続)があったことを知った日から1年以内に請求を行う必要があります(同法176条1項但し書き)。

3 財源

買取には当然ながら費用が必要です。

対価は会社と承継人(相続人)との間の協議で決まりますが,まとまらない場合には裁判所の売買価格決定の手続を利用します(同法177条2項,4項)。

また,買取の価格は,分配可能額を超えることは出来ません(同法461条1項5号,465条1項7号)。

4 株主総会における特別決議

定款に定めがあるだけでは手続はできません。
買取りの相手方と対象株式数を,株主総会の特別決議で決定する必要があります(会社法175条1項)。
ただし,この特別決議には,買取請求の相手方となる株主は,利害関係人であるため参加できません(同条2項)。

注意が必要なのは,この利害関係人の排除規定です。
オーナーである筆頭株主に株式が集中している場合で,唯一の相続人が株式を相続した場合,理論的には,この相続人を除いた他の株主により相続人から株式を奪い取る事が可能になってしまうからです。

つまり,いざという時のために用意しておいた定款の規定があだになって,会社を乗っ取られてしまう可能性もある,ということになります。

そのため,この制度の利用は,持分の比率や相続人の構成などをよく検討したうえで,行うべきであると言えます。

なお,この制度の利用は,代表者の事業承継よりも,共同経営者等の代替わりにより,関係の無い人が経営に参画することになることを阻止する,という場合の方が使い勝手が良いでしょう。



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