2014年5月15日木曜日

遺産分け以外に遺言でできることはありますか

遺言をのこせば,自分の財産を相続人やその他の人に分配するような形で遺せることはご存じだと思います。
財産を社会への寄付に充てることも可能です。

では,財産面以外に遺言ではどのような事を決めることができるのでしょうか。




(1)認知

遺言により自分の子を認知することができます。
もちろん認知が出来るのは自分の子であり,他人の子を認知したとしても関係者により認知の無効が主張されることになります。

認知された子は,遺言者の相続人となり,相続財産に対して法定相続分を持つことになります。
なお,非嫡出子と嫡出子の法定相続分に違いはありません。


(2)後見人,後見監督人の指定

未成年者は,親権を行う者がなくなれば,家庭裁判所により後見人がつけられます(未成年後見人)。
遺言者は,自分が親権を行う未成年の子がいる場合に,他に親権者がいない場合には,自分の死後に後見人に就任すべき者を,遺言で指定することが出来ます。

未成年後見人の指定を行えるのは,「最後に親権を行う者」ですので,夫婦で親権を行っている状態で夫が先に亡くなったときに,夫の遺言により第三者が,子の後見人として指定されていたとしても,それは無効です。
残された妻が当然に親権を行使します。

後見人の指定を行った場合は,後見監督人の指定も行った方が良いでしょう。
後見人の権限行使が適切に行われるよう監督する後見監督人を指定することが,子の権利保護につながります。

後見人を指定しないにもかかわらず,後見監督人を指定する必要はあまりありません。


(3)推定相続人の廃除

推定相続人の著しい非行を原因として,推定相続人から廃除する手続があります。
これを遺言により行うことができます。

ただし,推定相続人の廃除が認められるような事例はまれです。

なお,推定相続人の廃除が行われても,廃除された相続人に子があれば,代襲相続の対象となります。


(4)遺言執行者の指定

遺言執行者とは遺言の内容を確実に実行する役割を持つ人です。
遺言で指定しない場合には,家庭裁判所により選任されます。
遺言では,遺言執行者を直接指定することもできますし,遺言執行者の指定を第三者に任せるという内容にすることもできます。

遺言執行者は,遺言により認知をする場合,推定相続人の廃除を行う場合には必ず必要になります。

また,遺言で遺贈や遺産相続方法の指定をした場合には,遺言執行者がいない場合には,相続人がその手続きを行うこともできますが,手続が複雑であったり,相続人間のトラブルが生じたりすることもありますので,遺言執行者を選任しておいた方が良いでしょう。

遺言執行者の報酬を遺言に記載しておくことも出来ます。
遺言に記載のない場合には,相続人と遺言執行者の話し合いか,家庭裁判所の決定により報酬が決まります。



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