2014年5月12日月曜日

手形決済について

中小企業の支払いには為替手形が使われていることが多いようです。

取引相手への支払いのために為替手形を発行し,満期(支払期日)までに当座預金口座に支払い用の預金をしておくという方法をとります。
その為替手形は,取引相手が持っていて満期に提示することもあれば,裏書きにより所持人が変わり,別の所持人により提示されることもありますが,満期までに手形金額相当を用意しておけば良いことには変わりありません。



また,取引相手からの支払いのために,為替手形を受け取ることもあります。
受け取った手形は,支払期日まで取っておいて,支払期日に支払場所に提示しても良いですし,他の取引相手への支払いに代えてその為替手形を裏書譲渡することもありえます。
また,手形割引を受けて,期日より先に現金化することも可能です。

取引において,報酬や代金が,すぐに支払われることはそれほど多くなく,数週間後,場合によっては数ヶ月後に支払い日が来る,ということもあります。
このような場合に,必ずしも手形を使う必要はありません。
契約の段階で,支払期日をきちんと定めておくことにより,売掛金の回収は可能です。
しかし,このような売掛金債権を,支払期日までに譲渡することは,ほとんど想定されていないと思います。

為替手形を使うメリットは,手形の流通性により,柔軟に現金化することが可能であったり,請求が受け入れられなかった際には簡易迅速な手形訴訟の手続が用意されていたりすることなどが挙げられます。
また,手形の所持人は,支払期日に支払いを拒絶された場合には,裏書人に対して遡及して請求することもできますので,通常の債権譲渡の場合に比べると保護される可能性が高くなる,といえるかも知れません。
(※遡求権の行使には,支払期日から2営業日以内の支払場所へ提示をして拒絶されることが必要です。)

手形金の請求は,前述の手形訴訟によって行うことができますが,手形訴訟は形式的な訴訟手続であり,その原因などに理由があり形式的な判断に適さない場合には,通常訴訟に移行することができます。

手形金の請求には,短期の消滅時効が定められています(振出人に対しては支払期日から3年等)が,手形金の請求が出来なくなったからといって,原因債権上の請求までが出来なくなるわけではありません。

裏書人に対する遡求権行使は,満期から1年間です。
これはあくまでも手形上の権利であり,裏書人が保証人として裏書きしていたのであれば,別途保証債務を請求する余地はあるでしょうが,そうでなければ1年の経過で請求は出来なくなります。

一般的に手形を使う取引は最近は減ってきているといいます。
あまり手形を使うメリットはないということでしょう。
手形の割引やジャンプ等に頼ってぎりぎりの経営を続けるくらいなら,早めに別の手を打つべきでしょう。

手形金の回収が出来なかった場合も,原因債権さえあれば,回収の方法は他にもある可能性があります。
おはやめに相談して下さい。


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