それでは,一度成年後見人が就任したら,本人(被後見人)が亡くなるまで,後見の制度が続くことになるのでしょうか。
※本人の死亡は,当然ながら,最も多い後見の終了原因です。
後見は,本人の権利の制約をも含みうる制度ですので,必要がなくなった場合にまで制度を続けることは,かえって本人の利益に反します。
そのため,後見の必要がなくなった場合には,後見開始審判を取り消すことが可能です。
【後見開始審判の取消し】
(民法10条)
第7条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない。
保佐,補助の場合にも同様の規定があります(民法14条1項,18条1項)。
これ以外に,成年後見人がその職を終了する原因としては,次のようなものがあります。
【辞任】
(民法844条)
後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。
正当な理由があれば辞任することは可能ですが,本人に後見が必要である点については変わりません。
そのため,後見人が自ら辞する場合には,速やかに後任の後見人選任を家庭裁判所に請求する必要があります(民法845条)。
後任の成年後見人が選任される際に,同時に辞任の許可が出る,ということになります。
保佐,補助の場合も同様となります(民法876条の2第2項,876条の7第2項)。
【解任】
(民法846条)
後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる。
【成年後見人の死亡】
【成年後見人に欠格事由が生じたとき】
(民法847条)
次に掲げる者は、後見人となることができない。
① 未成年者
② 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
③ 破産者
④ 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
⑤ 行方の知れない者
解任,成年後見人の死亡,成年後見人に欠格事由が生じたときには,本人に後見が必要であることは変わらないのに,後見人が欠けることになります。
その場合,家庭裁判所は,職権で後見人を選任することになります(民法843条2項)。
なお,これらの終了原因についても,保佐,補助について準用されています(民法876条の2第2項,876条の7第2項)。
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