2018年7月相続法改正に関する記事です。
2018年7月相続法改正について
2020年4月1日に施行される配偶者居住権について見ていきたいと思います。
条文の紹介記事は以前の記事をご覧下さい。
1 配偶者居住権とはなんでしょう
配偶者居住権は、亡くなられた方(被相続人)の配偶者(夫または妻)が、被相続人の遺産であった居住用建物(自宅)に生涯または一定期間住み続けることができるように配慮して、新たに設けられた権利です。
相続開始の時に自宅に住んでいなければなりません。
2 配偶者居住権はどうすれば発生するのでしょうか
配偶者居住権は、遺言または遺産分割における選択肢の一つとして、配偶者に取得させることができます。
遺言がない場合、基本的には相続人間の合意が必要ですが、特別の事情があれば、合意がない場合でも家庭裁判所の遺産分割審判において配偶者居住権が認められることがあります。
配偶者短期居住権と違って、自動的に発生する権利ではないので注意が必要です。
3 配偶者居住権を認めることでどのような利点があるのでしょうか
配偶者が自宅で暮らしながらその他の財産も取得できる可能性があります。
具体的に見ていきましょう。
Aさんは、3000万円の価値のある自宅と預貯金1000万円を遺して亡くなりました。
遺言はありませんでした。
Aさんの法定相続人は、妻のBさんと子のCさんですので、法定相続分は1対1ということになります。
Bさんは、自宅に継続して住み続けたいと思っています。
(今までの制度だと)
Bさんが自宅の所有権を取得するのが理想です。
その代わり、Cさんがあくまでも1対1の相続を主張した場合には、預貯金1000万円のほか、代償金としてさらに1000万円をCさんに渡す必要があります。
Bさんとしては、自宅への居住継続は確保できたとしても、今後の生活には大いに不安を覚えるところです。
そもそも自宅をBさんが取得することに合意ができるとも限りません。
Cさんが相続した上で、BさんはCさんから自宅を賃貸借契約を締結する、という方法もあります。
しかし、合意が成立しなければ賃貸借契約は成立しません。
(配偶者居住権を利用すると)
遺産分割において、Bさんの配偶者居住権を認める合意が成立するか審判が確定すると、Bさんは自宅への居住を継続することができます。
その場合、Bさんが取得するのはあくまでも「配偶者居住権」であり、所有権ではありません。
このとき、所有権はCさんの名義とするならば、Cさんが取得するのは「制限付きの所有権」ということになり、CさんはBさんの配偶者居住権が継続する間、この不動産を自由に処分することが出来なくなります。
理論的には、不動産の価格=(Bさんの)配偶者居住権の価値+(Cさんの)制限付き所有権の価値ということになります。
配偶者居住権の評価は、相続税申告にも必要となるため、税務上の計算方法が定められることになります。
もっとも、相続人間で配偶者居住権をどの程度に評価するかは、合意ができさえすれば自由です。
争いが生じた場合には遺産分割の場面において、税務上それぞれがどのように評価されるかが、分割に際しての指標になるでしょう。
例えば、3000万円の不動産のうち、Bさんの配偶者居住権が1200万円、Cさんの制限付き所有権が1800万円と評価し、BさんとCさんで均等に遺産を分けることにする場合、残りの現預金1000万円をBさんに800万円、Cさんに200万円というような分け方をすることも出来るのです。
Bさんとしては、自宅を維持しつつも手元にまとまった財産を遺すことができました。
Cさんは、Bさんが亡くなり、配偶者居住権が無くなることによって、(税務上の負担は別として)負担のない所有権を取得することが可能になります。
遺言書作成の場面では、より重要な変更と言えるかも知れません。
遺留分を侵害した遺言を作成してしまうと、侵害された相続人の意向により、自分の意思どおりの相続は実現できない可能性が高まってしまいます。
例えば、不動産の価値が大きく、その他預貯金等は少ないというような財産の場合、配偶者に不動産を相続させるとすると、たとえ子供にその他全てを相続させるとしても、どうしても子供の遺留分を侵害する可能性が高まります。
その場合、税務上どのように配偶者居住権が評価されるかを検討したうえで、「配偶者に配偶者居住権を取得させる」旨の遺言を作成することにより、配偶者の自宅への居住を確保したうえで、遺留分を侵害しない遺言を残すことができる可能性が高まります。
なお、配偶者居住権を取得させることは、「遺贈」の扱いとなります。
ただし、配偶者居住権の価値がかなり高く評価されてしまい、自宅の所有権そのものとほとんど変わらないような場合は、あまり使えないという可能性もあります。
いずれにせよ、配偶者居住権を定める遺言の作成には、税務上の知識と、遺留分等相続法の知識が必要ですので、専門家の助けを借りた方が良いでしょう。
(補足)
配偶者居住権を遺産分割の場面で考慮できるようになるのは、施行日(2020年4月1日)以後に相続が発生した場合です。
また、配偶者居住権を遺贈する遺言については、施行日以降に作成されたものでなければ、意図したとおりの効果を得ることは出来ません。
(附則10条)
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2019年6月22日土曜日
2019年6月15日土曜日
チケット不正転売禁止法が施行されました
チケット不正転売禁止法(正式名称:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)が2019年6月14日に施行されました。
ダフ屋行為やインターネット上などでの転売、とくに高額での転売などが禁止されるのだろうということは想像できますが、実際にはどのような規制がなされるのでしょうか。
1 何のチケットが対象となるのでしょうか?
2 どういう行為が不正転売となるのでしょうか?
3 チケットを販売する側は何かする必要があるのでしょうか?
4 どういう行為に対してどういう罰則があるのでしょうか?
1 何のチケットが対象となるのでしょうか?
ただし、チケットは次のような要件を備えている必要があります。
○ 興行主(または興行主から委託を受けた販売者)により、チケット販売の際に興行主の同意のない転売は禁止である旨明示され、チケット(Eチケットなども含む)の券面にも同様の記載があること
○ 特定の日時・場所の興業であり、入場資格者または座席が指定されてること
○ 入場資格者を指定するものは、氏名と連絡先をチケット販売の際に確認すること
○ 座席のみ指定するものであっても、購入者の氏名と連絡先をチケット販売の際に確認すること
海外での公演のチケットは対象となりません。
また、遊園地の入場チケットなどは対象になりませんね。
2 どういう行為が不正転売となるのでしょうか?
この法律で規制される不正転売は、次の条件を全て満たした転売行為です。
① 興行主の事前の同意を得ていないこと
② 業として行うチケットの転売であること
③ 販売価格を超える価格で転売すること
例えば、予定していた公演に行けなくなったので、譲り先をインターネットで探して転売したというような場合は、たとえ少々高値であったとしても、「業として」には該当しないため普通は該当しません。
もっとも、このような転売を何度もしていると「業として行っている」と判断されることで、罰則の適用があり得ます。
なお、この法律は民事上の効果を規制するものではないため、興行主が転売されたチケットでは入場できない措置をとっているような場合は、たとえこの法律に定められた「不正転売」でなかったとしても、もちろん譲られた人は入場できません。
転売した人が罰則を受けることはない、というだけです。
3 チケットを販売する側は何かする必要があるのでしょうか?
興行主には、努力義務ではありますが、次のようなことが求められています。
① 入場時に、チケットで入場する人が入場資格者であるかどうかを確認するための措置などを講ずること
② 許可を得た適正な転売は可能にできるよう、購入者に機会を提供すること
③ 正確かつ適切な情報を提供し、購入者等からの相談に適切に対応すること
なお、興行主だけでなく、国および地方公共団体にも、努力義務が規定されています。
4 どういう行為に対してどういう罰則があるのでしょうか?
不正転売を行った者はもちろん、不正転売で購入した者も罰せられます。
1年以下の懲役または100万円以下の罰金で、これが併科されることもあります。
ダフ屋から購入しても罰則があるので、注意が必要です。
以上が「チケット不正転売禁止法」の概要です。
上にも少し述べましたが、この法律はチケット売買契約に関して、民事上の効果を直接規定するものではありません。
もっともこの法律が定められた趣旨から、例えばチケット転売行為が公序良俗違反等で無効とされる範囲についての判断の基準となるなど、契約関係にも影響はあるものと思われます。
摂津市、吹田市、茨木市、高槻市、島本町での法律相談は, 大阪北摂法律事務所まで。 もちろん他の地域からのご相談も受け付けています。 お気軽にどうぞ。
ダフ屋行為やインターネット上などでの転売、とくに高額での転売などが禁止されるのだろうということは想像できますが、実際にはどのような規制がなされるのでしょうか。
1 何のチケットが対象となるのでしょうか?
2 どういう行為が不正転売となるのでしょうか?
3 チケットを販売する側は何かする必要があるのでしょうか?
4 どういう行為に対してどういう罰則があるのでしょうか?
1 何のチケットが対象となるのでしょうか?
日本国内で行われる、不特定又は多数の人に見せ、聴かせることを目的とした芸術及び芸能(映画、演劇、演芸、音楽、舞踊その他)又はスポーツの興業のチケットです。
ただし、チケットは次のような要件を備えている必要があります。
○ 興行主(または興行主から委託を受けた販売者)により、チケット販売の際に興行主の同意のない転売は禁止である旨明示され、チケット(Eチケットなども含む)の券面にも同様の記載があること
○ 特定の日時・場所の興業であり、入場資格者または座席が指定されてること
○ 入場資格者を指定するものは、氏名と連絡先をチケット販売の際に確認すること
○ 座席のみ指定するものであっても、購入者の氏名と連絡先をチケット販売の際に確認すること
海外での公演のチケットは対象となりません。
また、遊園地の入場チケットなどは対象になりませんね。
2 どういう行為が不正転売となるのでしょうか?
① 興行主の事前の同意を得ていないこと
② 業として行うチケットの転売であること
③ 販売価格を超える価格で転売すること
例えば、予定していた公演に行けなくなったので、譲り先をインターネットで探して転売したというような場合は、たとえ少々高値であったとしても、「業として」には該当しないため普通は該当しません。
もっとも、このような転売を何度もしていると「業として行っている」と判断されることで、罰則の適用があり得ます。
なお、この法律は民事上の効果を規制するものではないため、興行主が転売されたチケットでは入場できない措置をとっているような場合は、たとえこの法律に定められた「不正転売」でなかったとしても、もちろん譲られた人は入場できません。
転売した人が罰則を受けることはない、というだけです。
3 チケットを販売する側は何かする必要があるのでしょうか?
① 入場時に、チケットで入場する人が入場資格者であるかどうかを確認するための措置などを講ずること
② 許可を得た適正な転売は可能にできるよう、購入者に機会を提供すること
③ 正確かつ適切な情報を提供し、購入者等からの相談に適切に対応すること
なお、興行主だけでなく、国および地方公共団体にも、努力義務が規定されています。
4 どういう行為に対してどういう罰則があるのでしょうか?
1年以下の懲役または100万円以下の罰金で、これが併科されることもあります。
ダフ屋から購入しても罰則があるので、注意が必要です。
以上が「チケット不正転売禁止法」の概要です。
上にも少し述べましたが、この法律はチケット売買契約に関して、民事上の効果を直接規定するものではありません。
もっともこの法律が定められた趣旨から、例えばチケット転売行為が公序良俗違反等で無効とされる範囲についての判断の基準となるなど、契約関係にも影響はあるものと思われます。
摂津市、吹田市、茨木市、高槻市、島本町での法律相談は, 大阪北摂法律事務所まで。 もちろん他の地域からのご相談も受け付けています。 お気軽にどうぞ。
2019年2月19日火曜日
不貞相手方に対する離婚慰謝料請求(認めず)
本日、最高裁判所にて、重要な判決が出ました(最高裁第三小法廷 平成31年2月19日判決)。
要旨:夫婦の一方は、他方と不貞行為に及んだ第三者に対し、特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできない
判例検索画面へのリンク
XA夫婦がいて、AとYが不貞行為に及んだ結果、XA夫婦は離婚することになった。
この場合、XはAの不倫相手であったYに対して慰謝料請求できるか。
という問題です。
これまでの裁判例では、不貞行為が存在する場合、AとYの共同不法行為を認め、その結果に応じて慰謝料請求を認めてきました。
おおざっぱに言えば、離婚することになった場合は慰謝料は多額に、そうでない場合は少額になる、という具合でした。
しかし、本日の判決により、離婚という結果(被害・損害)について、第三者(Y)に対する慰謝料を請求することは原則として否定されました。
不貞行為そのものと夫婦の離婚という結果には相当因果関係が認められない理由については、離婚は夫婦間で決まるものだから、とされています。
誤解してはならないのは、不貞行為そのものに対する慰謝料請求は否定されていない、ということです。
不貞行為を知ったことによってXが受けた精神的損害について、Yに対して請求することは否定されていません。
したがって、XA夫婦が離婚になろうがなるまいが、第三者であるYが負うべき慰謝料は、原則として、これまでの「離婚に至らなかった場合」レベルの少額の慰謝料にとどまることになるのではないかと思われます。
また、離婚という結果に因果関係が認められないことと、損害額の算定において離婚の事実を考慮すべきかどうか、については別だと考えられます。
すなわち、不貞行為を知ったことにより離婚を決意することになった、という場合と、不貞行為を知ったことによりショックを受けた、という場合では、被害者であるXの損害は前者の方が大きい、と考えることは十分に可能であると思われます。
(理解が難しいところですが。)
これまでの実務がどれほどの変更を受けることになるのか、注目されます。
時効との関係でも、離婚を起算点とするのではなく、不貞行為の事実(損害)と不倫相手を知った時を起算点とすることになるため、注意が必要となります。
本日の最高裁判決の事例でも、不貞行為自体は過去のもので、そのときは我慢したけれど、結局離婚に至った、というものでした。
不貞行為を知ったことによって精神的損害を受けたことは確かでしょうが、慰謝料請求をしようとした時には、不貞行為の事実と不倫相手を知ってから3年以上が経過していたため、不貞行為を知ったことによる精神的損害を請求することは困難であったのだろうと思われます。
(そのため、不貞行為の結果として離婚が生じた、と主張し、最終的な損害である離婚があったことを時効の起算点として請求することにしたものだと思われます。)
理論的にはすっきりしない気もするのですが、最高裁判例ですのでこれを避けて通ることは出来ません。
なお、例外として、「第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは,当該第三者が,単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。」との判断がなされています。
今後は、どのような場合に、例外に当てはまるかが争いとなっていくことでしょう。
なお、不貞行為はAとYの共同不法行為となります。
AとYは、不貞行為による損害の範囲で、Xに対する連帯債務(不真性連帯債務)を負うことになるでしょう。
一方、YはXに対して、婚姻関係を破綻させたことに対する債務も負うことになります。
前者は後者の一部と重なるため、Xとしては、AとYに対して慰謝料請求を行う場合、たとえばYに対しては300万円、内金100万円についてはAと連帯して支払うよう求めることになるものと思われます。
今回の判決は、政策的な意図もあるのではないかと思われます。
不貞配偶者Aに対する慰謝料請求は良いとしても、不貞相手方Yに対する慰謝料請求を認めることには、もともと強い反対意見があります。
これを完全に否定することは論理的に難しいでしょうが、今回の判決では、不貞相手方の責任を事実上縮小する効果はあるのではないでしょうか。
摂津市,吹田市,茨木市,高槻市,島本町で,離婚・男女問題に関するご相談は, 大阪北摂法律事務所まで。 もちろん他の地域からのご相談も受け付けています。 お気軽にどうぞ。
要旨:夫婦の一方は、他方と不貞行為に及んだ第三者に対し、特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできない
判例検索画面へのリンク
XA夫婦がいて、AとYが不貞行為に及んだ結果、XA夫婦は離婚することになった。
この場合、XはAの不倫相手であったYに対して慰謝料請求できるか。
という問題です。
これまでの裁判例では、不貞行為が存在する場合、AとYの共同不法行為を認め、その結果に応じて慰謝料請求を認めてきました。
おおざっぱに言えば、離婚することになった場合は慰謝料は多額に、そうでない場合は少額になる、という具合でした。
しかし、本日の判決により、離婚という結果(被害・損害)について、第三者(Y)に対する慰謝料を請求することは原則として否定されました。
不貞行為そのものと夫婦の離婚という結果には相当因果関係が認められない理由については、離婚は夫婦間で決まるものだから、とされています。
誤解してはならないのは、不貞行為そのものに対する慰謝料請求は否定されていない、ということです。
不貞行為を知ったことによってXが受けた精神的損害について、Yに対して請求することは否定されていません。
また、離婚という結果に因果関係が認められないことと、損害額の算定において離婚の事実を考慮すべきかどうか、については別だと考えられます。
すなわち、不貞行為を知ったことにより離婚を決意することになった、という場合と、不貞行為を知ったことによりショックを受けた、という場合では、被害者であるXの損害は前者の方が大きい、と考えることは十分に可能であると思われます。
(理解が難しいところですが。)
これまでの実務がどれほどの変更を受けることになるのか、注目されます。
時効との関係でも、離婚を起算点とするのではなく、不貞行為の事実(損害)と不倫相手を知った時を起算点とすることになるため、注意が必要となります。
本日の最高裁判決の事例でも、不貞行為自体は過去のもので、そのときは我慢したけれど、結局離婚に至った、というものでした。
不貞行為を知ったことによって精神的損害を受けたことは確かでしょうが、慰謝料請求をしようとした時には、不貞行為の事実と不倫相手を知ってから3年以上が経過していたため、不貞行為を知ったことによる精神的損害を請求することは困難であったのだろうと思われます。
(そのため、不貞行為の結果として離婚が生じた、と主張し、最終的な損害である離婚があったことを時効の起算点として請求することにしたものだと思われます。)
理論的にはすっきりしない気もするのですが、最高裁判例ですのでこれを避けて通ることは出来ません。
なお、例外として、「第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは,当該第三者が,単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。」との判断がなされています。
今後は、どのような場合に、例外に当てはまるかが争いとなっていくことでしょう。
なお、不貞行為はAとYの共同不法行為となります。
AとYは、不貞行為による損害の範囲で、Xに対する連帯債務(不真性連帯債務)を負うことになるでしょう。
一方、YはXに対して、婚姻関係を破綻させたことに対する債務も負うことになります。
前者は後者の一部と重なるため、Xとしては、AとYに対して慰謝料請求を行う場合、たとえばYに対しては300万円、内金100万円についてはAと連帯して支払うよう求めることになるものと思われます。
今回の判決は、政策的な意図もあるのではないかと思われます。
不貞配偶者Aに対する慰謝料請求は良いとしても、不貞相手方Yに対する慰謝料請求を認めることには、もともと強い反対意見があります。
これを完全に否定することは論理的に難しいでしょうが、今回の判決では、不貞相手方の責任を事実上縮小する効果はあるのではないでしょうか。
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2019年2月7日木曜日
配偶者居住権(1)
2018年7月相続法改正に関する記事です。
このたびの改正により、配偶者の居住権を保護するための方策が規定されました。
2020年4月1日の施行となっていますので、施行はもう少し先の話になります。
2018年7月相続法改正について
配偶者の居住権を保護するための方策として、配偶者居住権に関する規定が新たに設けられました。
まずは新設された条文を紹介します。
民法1028条(配偶者居住権)
1 被相続人の配偶者(以下「配偶者」という)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下「居住建物」という)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下「配偶者居住権」という)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。
① 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
② 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。
2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。
3 第903条第4項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。
1029条(審判による配偶者居住権の取得)
遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、次に掲げる場合に限り、配偶者が配偶者居住権を取得する旨を定めることができる。
① 共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき
② 配偶者が家庭裁判所に対して、配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき(①の場合を除く)。
1030条(配偶者居住権の存続期間)
配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。
1031条(配偶者居住権の登記等)
1 居住建物の所有権は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る)に対し、配偶者居住権の登記を備えさせる義務を負う。
2 第605条の規定は配偶者居住権について、第605条の4の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。
1032条(配偶者による使用及び収益)
1 配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げない。
2 配偶者居住権は、譲渡することができない。
3 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。
4 配偶者が第1項又は前項の規定に違反した場合において、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がなされないときは、居住建物の所有者は、当該配偶者に対する意思表示によって、配偶者居住権を消滅させることができる。
1033条(居住建物の修繕等)
1 配偶者は、居住建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができる。
2 居住建物の修繕が必要である場合において、配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、居住建物の所有者は、その修繕をすることができる。
3 居住建物が修繕を要するとき(第1項の規定により配偶者が自らその修繕をするときを除く。)、又は居住建物について権利を主張する者があるときは、配偶者は、居住建物の所有者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。ただし、居住建物の所有者が既にこれを知っているときは、この限りでない。
1034条(居住建物の費用の負担)
1 配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。
2 第583条第2項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。
1035条(居住建物の返還等)
1 配偶者は、配偶者居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物の所有者は、配偶者居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができない。
2 第599条第1項及び第2項並びに第621条の規定は、前項本文の規定により配偶者が相続の開始後に附属させたものがある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場合について準用する。
1036条(使用貸借及び賃貸借の規定の準用)
第597条第1項及び第3項、第600条、第613条並びに第616条の2の規定は、配偶者居住権について準用する。
もともと1028条以下は遺留分に関する規定がありましたが、これらの規定も手を入れられることとなったため1041条以下に繰り下がっています。
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このたびの改正により、配偶者の居住権を保護するための方策が規定されました。
2020年4月1日の施行となっていますので、施行はもう少し先の話になります。
2018年7月相続法改正について
配偶者の居住権を保護するための方策として、配偶者居住権に関する規定が新たに設けられました。
まずは新設された条文を紹介します。
民法1028条(配偶者居住権)
1 被相続人の配偶者(以下「配偶者」という)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下「居住建物」という)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下「配偶者居住権」という)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。
① 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
② 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。
2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。
3 第903条第4項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。
1029条(審判による配偶者居住権の取得)
遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、次に掲げる場合に限り、配偶者が配偶者居住権を取得する旨を定めることができる。
① 共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき
② 配偶者が家庭裁判所に対して、配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき(①の場合を除く)。
1030条(配偶者居住権の存続期間)
配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。
1031条(配偶者居住権の登記等)
1 居住建物の所有権は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る)に対し、配偶者居住権の登記を備えさせる義務を負う。
2 第605条の規定は配偶者居住権について、第605条の4の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。
1032条(配偶者による使用及び収益)
1 配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げない。
2 配偶者居住権は、譲渡することができない。
3 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。
4 配偶者が第1項又は前項の規定に違反した場合において、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がなされないときは、居住建物の所有者は、当該配偶者に対する意思表示によって、配偶者居住権を消滅させることができる。
1033条(居住建物の修繕等)
1 配偶者は、居住建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができる。
2 居住建物の修繕が必要である場合において、配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、居住建物の所有者は、その修繕をすることができる。
3 居住建物が修繕を要するとき(第1項の規定により配偶者が自らその修繕をするときを除く。)、又は居住建物について権利を主張する者があるときは、配偶者は、居住建物の所有者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。ただし、居住建物の所有者が既にこれを知っているときは、この限りでない。
1034条(居住建物の費用の負担)
1 配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。
2 第583条第2項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。
1035条(居住建物の返還等)
1 配偶者は、配偶者居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物の所有者は、配偶者居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができない。
2 第599条第1項及び第2項並びに第621条の規定は、前項本文の規定により配偶者が相続の開始後に附属させたものがある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場合について準用する。
1036条(使用貸借及び賃貸借の規定の準用)
第597条第1項及び第3項、第600条、第613条並びに第616条の2の規定は、配偶者居住権について準用する。
もともと1028条以下は遺留分に関する規定がありましたが、これらの規定も手を入れられることとなったため1041条以下に繰り下がっています。
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2019年1月18日金曜日
自筆証書遺言の方式緩和
2018年7月相続法改正に関する記事です。
2018年7月相続法改正について
改正法の中でも一足はやく、2019年1月14日に、自筆証書遺言の方式緩和に関する規定が施行されました。
自筆証書は、全てを自筆し、署名押印しなければならないのが原則でした。
この原則自体は変わりませんが、これが緩和され、自筆ではない相続財産目録をつけることが可能になりました。
自筆でない目録、ということはパソコンで作った目録を自筆証書遺言に添付することができるということになります。
(第三者による手書きの目録でも構いません。)
特にいろいろな種類の財産がある場合には、全てを手書きするのは大変ですし、後から見る人にとっても解読に労力を使わせる可能性があります。
事細かに相続先を決めておきたい場合はもちろんのこと、そうでなくても、相続人らが相続財産を見落としてしまうことを避けるためにも、遺産の目録を作っておくことは意味があるでしょう。
作った目録については、1ページごとに署名押印しなければならないという決まりがありますので、注意を要します。
この署名押印が欠けると、有効な遺言では無くなってしまいますので気をつけましょう。
読解に苦しむような遺言は、それが遺言なのかどうか、という所から争いになることがあります。
後から見る人にとってわかりやすい遺言を作成することも、重要なポイントです。
遺産目録をパソコンで作ることが出来るようになったことは、大きな進歩だと言えるでしょう。
もちろん、公正証書遺言の方法にした方がさらに確実かも知れませんが、さまざまな事情で自筆証書遺言にしておきたい、という場合もあります。
自筆証書遺言の場合であっても、後から解釈に争いが生じないように、遺言の内容について専門家からのチェックを受けることは重要です。
さて、この新法は、2019年1月14日から施行されると書きました。
対象となるのは、2019年1月14日以降に発生した相続、ということになります。
したがって、これ以前に亡くなった人の相続に際して、故人が自筆でない目録つきの遺言を残していたとしても、その遺言は有効にはなりません。
それでは、2019年1月14日より前に、自筆でない目録つきの遺言を残していた人が、同日以後に亡くなった場合はどうでしょうか。
法律は2018年7月に成立し公布されているのですから、そういった人がいるかも知れませんね。
しかし、もし早まって作ってしまった人がいれば、作り直してください。
残念ながら、このタイプの遺言が有効と判断されるのは、2019年1月14日以降に作成された場合だけですのでご注意ください。
(民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律 附則6条)
摂津市,吹田市,茨木市,高槻市,島本町で,遺言・相続に関するご相談は, 大阪北摂法律事務所まで。 もちろん他の地域からのご相談も受け付けています。 お気軽にどうぞ。
2018年7月相続法改正について
改正法の中でも一足はやく、2019年1月14日に、自筆証書遺言の方式緩和に関する規定が施行されました。
(改正前)
民法968条
1 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
↓
(改正後)
民法968条
1 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)の中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつその変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
自筆証書は、全てを自筆し、署名押印しなければならないのが原則でした。
この原則自体は変わりませんが、これが緩和され、自筆ではない相続財産目録をつけることが可能になりました。
自筆でない目録、ということはパソコンで作った目録を自筆証書遺言に添付することができるということになります。
(第三者による手書きの目録でも構いません。)
特にいろいろな種類の財産がある場合には、全てを手書きするのは大変ですし、後から見る人にとっても解読に労力を使わせる可能性があります。
事細かに相続先を決めておきたい場合はもちろんのこと、そうでなくても、相続人らが相続財産を見落としてしまうことを避けるためにも、遺産の目録を作っておくことは意味があるでしょう。
作った目録については、1ページごとに署名押印しなければならないという決まりがありますので、注意を要します。
この署名押印が欠けると、有効な遺言では無くなってしまいますので気をつけましょう。
読解に苦しむような遺言は、それが遺言なのかどうか、という所から争いになることがあります。
後から見る人にとってわかりやすい遺言を作成することも、重要なポイントです。
遺産目録をパソコンで作ることが出来るようになったことは、大きな進歩だと言えるでしょう。
もちろん、公正証書遺言の方法にした方がさらに確実かも知れませんが、さまざまな事情で自筆証書遺言にしておきたい、という場合もあります。
自筆証書遺言の場合であっても、後から解釈に争いが生じないように、遺言の内容について専門家からのチェックを受けることは重要です。
さて、この新法は、2019年1月14日から施行されると書きました。
対象となるのは、2019年1月14日以降に発生した相続、ということになります。
したがって、これ以前に亡くなった人の相続に際して、故人が自筆でない目録つきの遺言を残していたとしても、その遺言は有効にはなりません。
それでは、2019年1月14日より前に、自筆でない目録つきの遺言を残していた人が、同日以後に亡くなった場合はどうでしょうか。
法律は2018年7月に成立し公布されているのですから、そういった人がいるかも知れませんね。
しかし、もし早まって作ってしまった人がいれば、作り直してください。
残念ながら、このタイプの遺言が有効と判断されるのは、2019年1月14日以降に作成された場合だけですのでご注意ください。
(民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律 附則6条)
摂津市,吹田市,茨木市,高槻市,島本町で,遺言・相続に関するご相談は, 大阪北摂法律事務所まで。 もちろん他の地域からのご相談も受け付けています。 お気軽にどうぞ。
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