2019年6月15日土曜日

チケット不正転売禁止法が施行されました

チケット不正転売禁止法(正式名称:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律)が2019年6月14日に施行されました。

ダフ屋行為やインターネット上などでの転売、とくに高額での転売などが禁止されるのだろうということは想像できますが、実際にはどのような規制がなされるのでしょうか。




1 何のチケットが対象となるのでしょうか?
2 どういう行為が不正転売となるのでしょうか?
3 チケットを販売する側は何かする必要があるのでしょうか?
4 どういう行為に対してどういう罰則があるのでしょうか?



1 何のチケットが対象となるのでしょうか?

日本国内で行われる、不特定又は多数の人に見せ、聴かせることを目的とした芸術及び芸能(映画、演劇、演芸、音楽、舞踊その他)又はスポーツの興業のチケットです。

ただし、チケットは次のような要件を備えている必要があります。

○ 興行主(または興行主から委託を受けた販売者)により、チケット販売の際に興行主の同意のない転売は禁止である旨明示され、チケット(Eチケットなども含む)の券面にも同様の記載があること
○ 特定の日時・場所の興業であり、入場資格者または座席が指定されてること
○ 入場資格者を指定するものは、氏名と連絡先をチケット販売の際に確認すること
○ 座席のみ指定するものであっても、購入者の氏名と連絡先をチケット販売の際に確認すること

海外での公演のチケットは対象となりません。
また、遊園地の入場チケットなどは対象になりませんね。


2 どういう行為が不正転売となるのでしょうか?

この法律で規制される不正転売は、次の条件を全て満たした転売行為です。
① 興行主の事前の同意を得ていないこと
② 業として行うチケットの転売であること
③ 販売価格を超える価格で転売すること

例えば、予定していた公演に行けなくなったので、譲り先をインターネットで探して転売したというような場合は、たとえ少々高値であったとしても、「業として」には該当しないため普通は該当しません。

もっとも、このような転売を何度もしていると「業として行っている」と判断されることで、罰則の適用があり得ます。

なお、この法律は民事上の効果を規制するものではないため、興行主が転売されたチケットでは入場できない措置をとっているような場合は、たとえこの法律に定められた「不正転売」でなかったとしても、もちろん譲られた人は入場できません。
転売した人が罰則を受けることはない、というだけです。


3 チケットを販売する側は何かする必要があるのでしょうか?

興行主には、努力義務ではありますが、次のようなことが求められています。

① 入場時に、チケットで入場する人が入場資格者であるかどうかを確認するための措置などを講ずること
② 許可を得た適正な転売は可能にできるよう、購入者に機会を提供すること
③ 正確かつ適切な情報を提供し、購入者等からの相談に適切に対応すること


なお、興行主だけでなく、国および地方公共団体にも、努力義務が規定されています。


4 どういう行為に対してどういう罰則があるのでしょうか?

不正転売を行った者はもちろん、不正転売で購入した者も罰せられます。

1年以下の懲役または100万円以下の罰金で、これが併科されることもあります。

ダフ屋から購入しても罰則があるので、注意が必要です。




以上が「チケット不正転売禁止法」の概要です。


上にも少し述べましたが、この法律はチケット売買契約に関して、民事上の効果を直接規定するものではありません。
もっともこの法律が定められた趣旨から、例えばチケット転売行為が公序良俗違反等で無効とされる範囲についての判断の基準となるなど、契約関係にも影響はあるものと思われます。



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