2014年7月2日水曜日

財産分与はどうやって行うのですか

財産分与とは,婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を,離婚の際にそれぞれに分配することです。

財産分与は離婚と同時にすることも出来ますし,離婚の成立した後に請求することも出来ます。



しかし,できれば離婚の際には財産分与の取り決めをしておくべきでしょう。
離婚が成立してしまった後には,相手の財産がどれほどあるか,といった情報にもアクセスしにくくなる,という事情もあります。

財産分与の定義は,上述のとおりですが,そこに別の意味が付加されることもあります。

① 離婚により困窮することが予想される配偶者の扶養としての財産分与
② 慰謝料的財産分与

①について言えば,未成年の子を引き取る側であれば養育費を受け取る額を調整することで対応することも出来ますが,そうでない場合には財産分与にて調整するしかありません。

②については,財産分与とは別に取り決めることも,もちろん可能です。
財産分与の中に慰謝料が加味されている場合には,別途慰謝料を請求することは出来ません。

もっとも,これらを除いて,中心となるのはやはり,築き上げた財産を分けるという意味での,清算的財産分与です。

清算的財産分与は,離婚の原因はどちらにあったのか(どちらが有責配偶者なのか)という問題とは別の問題なので,有責配偶者の方から求めることもできます


財産分与の対象となる財産は,婚姻中に夫婦間で協力して形成・維持してきた財産全てです。
そして,その所有名義がだれになっているかは問いません。
例えば,持ち家が夫の単独名義になっていようが,夫婦の共有名義になっていようが,結婚した後に夫婦で購入し,維持してきたものであれば,財産分与の対象となります。
車や預貯金などもそうです。

例えば夫が収入を得ていて,妻が専業主婦であり,資産は全て夫名義になっている,というような夫婦であっても,現在ある夫名義の財産は,夫婦の協力のもと形成・維持されたものと評価できますので,財産分与の対象となります。

一方,婚姻前からどちらかの配偶者が持っていた財産や,夫婦の協力とは関係なくどちらかが婚姻中に取得した財産(特有財産)は,財産分与の対象とならない可能性があります。
たとえば,独身時代に貯めていた定期預金や,婚姻中に相続によって得た不動産などは,財産分与の対象とはなりません。

ただし,特有財産であっても,夫婦の協力で維持してきたというような事情が認められれば,財産分与の対象となりえます。

なお,財産分与の基準時は別居時とされているので,別居後離婚前にどちらかが取得した財産は,分与の対象外と考えて良いでしょう。

マイナスの財産(負債)については,夫婦共同生活のためになされたものであるならば,名義はどうであれ,財産分与においては,考慮されます。

現実には,プラスの財産がマイナスの財産を上回る場合には,差額を分配することになります。

一方,自分のために借り入れた個人的な借金を,相手に押しつけることは出来ません。

なお,マイナスの財産を半分ずつ負担することになりました,と言っても債権者には対抗できません。
あくまでも債権者との関係では,従前から債務者であった方が,引き続き債務者となりますので,その点は注意が必要です。


財産分与の割合は,夫婦で1:1が原則となります。
収入は専ら夫だけが稼いでいた,というような夫婦であっても,これは変わりません。
ただ,特別の事情があり,特別高額な資産形成がなされた,というような場合には,個別的事情により,その割合が修正されることはあります。


財産分与は,話し合いで決めることもできます。

話し合いで決まらなければ,裁判所の手続を利用することになります。
離婚と一緒に考慮する場合には,離婚調停(審判,訴訟)と一緒に請求することになるでしょう。
財産分与を取り出して求める場合には,調停,審判の手続となります。

なお,離婚成立後に,裁判上財産分与を請求できる期間は,離婚成立後2年間という制限があるため,注意が必要です。


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