2014年7月4日金曜日

事実婚(内縁関係)であった場合にはどうなりますか

様々な理由で,婚姻関係を出さない「夫婦」も存在します。
法律上は婚姻関係になれないために,事実婚状態を選択した場合もあれば,主義主張として婚姻届けを出さない,というような場合もあるでしょう。



これらの夫婦関係について,法律婚の夫婦と同様の権利保護が与えられるとは限りません。
しかし,夫婦関係の清算の場面において,事実婚であるという理由から,何らの手当てがされないとなれば,それは公平とは言えません。
そのため,一定の範囲で,事実婚の夫婦であっても,法律婚の夫婦の離婚の場合と同様の保護が与えられる,と考えられています。

※ただし,相続の場合には,他の相続人との利害関係もあるため,事実婚の配偶者が,法律婚の配偶者と同様の保護を与えられることはありません。事実婚の配偶者に遺産をのこすには,遺言により遺贈する,養子縁組をする,などの措置が必要となります。

事実婚といっても,様々な形があり,それらに一様の保護が与えられるわけではありません。
離婚の場合に,法律婚夫婦と同様の効果が期待出来る条件としては,
① 婚姻の意思はある。
② 同居して、夫婦と変わらない生活を営んでいる。
③ 社会的にも夫婦として認められている。
④ 双方に配偶者がいない。
といった条件が必要であると考えられています。

もっとも,法律婚と同様に保護が与えられるとしても,法律婚との違いからくる違いは当然にあります。
そもそも,婚姻届をだしていないのですから,離婚届も必要ありません。

未成年の子がいる場合にも,法律婚であれば親権者を決めなければ成りませんが,事実婚の場合には,最初から母親側の戸籍に入っているはずなので,親権を決める必要はありません。
ただし,父親が認知している場合には,協議により親権を父親に移すこともできます。
さらに,父親の戸籍に入れたい場合には,子の氏の変更の申立てをして氏を変更した上で,入籍の届けをします。

その他の,金銭的な問題は,基本的には法律婚の場合と同じです。

子どもの養育に費用がかかる場合には,養育費の問題となります。
2人で築いた財産がある場合には,財産分与の問題となります。
別れる原因をどちらかが作った場合には,慰謝料の問題となります。

これらの事項が,2人の間でまとまらない場合には,裁判所の調停・審判・訴訟といった手続を利用することも可能です。

重婚的な内縁関係の場合には

内縁関係の夫婦のどちらか,または両方に,法律上の配偶者がいる場合には,その内縁関係を,法律婚並みに保護する必要があるとは限りません。

しかし,法律上の婚姻関係が破綻しているような場合には,内縁関係が実質上の夫婦関係として保護に値すると判断され,同じような保護が与えられる場合もあります。

これは,ケースバイケースです。


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