労使間に起きる争いを労働事件と呼びます。
労働事件には,次のようなものがあります。
労働者の視点から見ていきましょう。
(1) 内定の取り消し
内定の取り消しには制限が有り,使用者は,一度出した内定を自由に取り消すことはできません。したがって,内定が取り消された場合には,それが認められるべき理由があるかどうかが,しばしば問題となります。
使用者側の経営悪化も,内定取り消しの当然の原因とはなりません。
不当な内定の取り消しを受けた時は,使用者に対して労働者としての地位の確認を求めたり,損害賠償請求をしたりすることができる可能性があります。
(2) 賃金
使用者と労働者は,最初に労働契約を結び,雇用条件について合意します。
その合意にしたがった支払いがなされない場合には,使用者に対して賃金の請求ができます。
また,使用者は,労働者が時間外労働,休日出勤をした場合には,労働者の労働時間を把握して,法定の割増賃金を支払うことも必要です。
残業代の請求については,必ずしも使用者側が記録として残している出退勤の時間だけが証拠となるわけではありません。場合によっては,出退勤の記録が残っていないこともありますが,残業代の請求が認められる場合もあるのです。
(3) 解雇,雇い止め
使用者は,労働者を自由に解雇することが出来るわけではありません。
たとえ,期間を定めた労働契約であったとしても,更新が出来る仕事であれば,更新しないことについて,相当な理由が必要です。
解雇権の濫用や,濫用的雇い止めに対しては,労働者としての地位の確認を求めたり,あるいは金銭的な解決を図ることになります。
(4) 不利益な労働条件の変更
使用者は,合理的な理由があれば就業規則を変更することができます。
しかし,労働者に不利益な労働条件の変更は原則として許されません。
不利益変更について,合理的な理由があるか,労働者側との十分な協議があるか,などを検討し,場合によっては就業規則の変更自体の効果を争うことも可能です。
(5) 出向,転籍
使用者には人事権がありますが,それも無制限に認められるわけではありません。
出向には,必要性はもちろん,当該労働者の不利益に対する配慮が必要です。
また,転籍は,労働契約を終わらせて,別の会社と労働者が労働契約を結ぶことになりますので,当該労働者の同意が必要です。
人事権の濫用により,出向,転籍が命じられた場合には,その効果を争うことも可能です。
(6) 差別的待遇,セクハラ
男女の性差などにより差別的待遇を行うことは許されません。
また,使用者からの直接のセクハラに限らず,会社内でセクハラ等の嫌がらせがあった場合には,使用者にも責任が認められる場合もあります。
(6) その他の問題
労働者と使用者は,形式的には労働契約における対等の当事者ではありますが,実質的に優越的な立場にいる使用者が,その立場を利用して,労働者に不利益を押しつけることがしばしば生じます。
そのような場合に,労働者としては泣き寝入りするのではなく,解決する方法はきっとあります。弁護士に相談してみませんか。
また,使用者としても,どこまで許されるのか,という判断は,それほど簡単ではありません。裁判を起こされてから対応するのは大変な負担ですし,場合によっては社会的信用を落とすことにもなってしまいます。
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