2014年3月26日水曜日

成年後見制度とは何ですか

超高齢化社会を迎える日本。
その中で,高齢者が過ごしやすい世の中を実現するにはどうしたらよいのでしょうか。

様々な視点からのアプローチが必要でしょうが,ここでは,自分でいろいろな判断を行うことが難しくなった高齢者に対して,法律によりサポートを行う制度として,成年後見制度をご紹介します。



成年後見制度とは,認知症,知的障害,精神障害等により,判断能力が乏しいため,自己の財産管理を行ったり,介護等のサービスのための契約を締結することが出来ない場合に,後見の開始を受けて専任された後見人が,本人に代わってこれらの判断を行うことを可能とする制度です。

もちろん,本人の判断能力にも程度がありますので,最も重い「後見」から「保佐」「補助」といった段階が用意されており,本人のために判断や同意を行う「後見人」,「保佐人」,「補助人」の権限にも,それぞれ違いがあります。

これらの制度の利用によって,判断能力の乏しい弱者が,犯罪行為等に巻き込まれて損害を受けることを阻止する,といった効果も期待できます。

ここでは,認知症による後見を例として考えてみましょう。

後見開始には,家庭裁判所による後見開始の審判が必要になります。

認知症だからといって,必ず後見開始になるわけではありません。
判断能力に欠けているのが通常の状態の場合は,後見開始の審判がされることになります。

判断能力に欠けているのが通常かどうかは,申立時点で主治医の方の診断書はもちろん必要ですが,審判手続中に鑑定が行われるのが通常です。

後見開始の審判では,かならず後見人が指定されます。
後見開始の審判を受けた本人を,「被後見人」といいます。

後見開始の申立てに当たっては,後見人の候補者を挙げて申し立てるのが通常です。

後見人には,日頃,被後見人の世話をしている親族などがつく場合も多いです。
(いきなり意見もきかずに後見人に選任されるわけではありません。)

もっとも,親族間(特に推定相続人間)に対立がある場合には,親族の一人を後見人に選任するわけにはいかず,中立の立場の専門家が後見人に選任されることになります。

中立の立場の専門家としては,弁護士のほか,司法書士や社会福祉士等が選ばれるのが通常です。
どの専門職が選ばれるかは,被後見人に必要なサービスの種類によります。
財産管理がメインであれば弁護士などが,福祉サービスの有効活用を限られた資源から選択していくことが重視される場合は,社会福祉士が,適しているといえるでしょう。
ケースによっては,後見人が複数選任されることもあります。
また,親族以外の後見人には,専門職が相応しい場合が多いと言っても,後見人の資格に制限はあまりありませんので,最近は市民後見人の育成が行われています。

親族が後見人についた場合などで,必要な場合には,後見監督人が選任される場合もあります。

このようにして,後見開始の審判があれば,後見が開始します。
後見人は,被後見人に代わって,被後見人の財産を管理したり,必要な契約を締結したりします。
後見人は,自分の判断で,これらの行為を行うわけですが,何でも自分勝手に出来るわけではありません。

裁判所の監督がありますので,きちんと報告する必要があります。

なお,被後見人は自分の判断で何もできないというわけではありません。
日常的な買い物などは自分の判断でできますし,後見人といえどもそれらを取り消すことはできません。

また,後見人といえども被後見人に関する判断をすべてできる訳ではありません。
被後見人の個人の尊厳の尊重からそもそも後見人にはできないこと(身分行為や一身専属的な権利の行使など)や,裁判所の許可が必要なこと(居住用不動産の処分等)などがあります。

このように,後見制度は,被後見人となる判断能力に乏しい弱者保護のための制度として,今後ますますの活用が期待されています。

当事務所では,成年後見(保佐,補助)開始の申立てのお手伝いを行います。
自分の判断能力に自信が無くなってきた,というご本人はもちろん,そのご家族の方の代理という形でも,申立てを行うことができますので,ご相談下さい。


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