2014年7月29日火曜日

(事例)余罪20件以上の窃盗事件

私は,ある少年の窃盗事件について,被疑者段階から受任し,少年審判の付添人として活動することになりました。
少年審判では,付添人が必要な事件は限られていますが,私は被疑者段階から関わった少年については,責任を持って付添人としての活動をすることにしています。



その少年の審判での結論は,保護観察ということになりました。
保護観察は,不処分とすることは相当でないものの,少年院に送るほどの事実が認められない場合に,保護司による一定の監督のもと,社会内での更生を促す処分です。
そして,少年に対する審判は,単に犯した行為だけでなく,少年の家族・交友関係や,周りの環境なども総合的に考慮して,その少年にとって最もふさわしい処分を決めることになります。

したがって,この事件においても,私は,少年が社会内で更生できるように,必要と思われる活動をしました。

さて,ここからが本題ともいえます。

それから数ヶ月後,少年の父親から電話がかかってきました。
少年が再び逮捕されたので,助けてほしいというのです。

私は,保護観察の処分は甘かったのか,とも思いながら面会に赴きました。

しかし,少年に事情を聞くと,前の事件以前の窃盗事件について,取り調べを受けているというのです。

前の事件の際には,対象となる非行は1件の窃盗事件だけでした。
少年に余罪がある場合には,余罪についても順次操作がなされ,五月雨式に家庭裁判所に送られ,審判の際には,すべての事件が対象となっているのが通常です。

しかし,この少年の場合には,余罪があることについては少年も認めていたものの,細かい捜査は終わっておらず,審判までに家裁への追送致が1件もなされることはありませんでした。

今回の逮捕により明らかになったのは,なんと20件以上もの窃盗です。
それらは,ほとんどが当時つるんでいた仲間の少年と2人で行った犯行でした。

窃盗20件以上,これが家裁に送られた場合には,少年院送致になることも多いのではないでしょうか。

しかし,このケースの場合には,前の審判にあたって環境調整を行い,当該少年が社会内で更生していくだけの基礎ができていました。

そこで,家庭裁判所調査官などとの協議を重ね,少年に対しては,不処分(従前の保護観察を続けること)がふさわしいという意見をアピールしました。

審判では,審判官とも意見を交わし,少年は不処分となりました。





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