2014年7月23日水曜日

養子縁組の離縁

養子縁組をしたものの,その養親子関係を何らかの理由で終了させたい場合にはどうしたらよいのでしょうか。




(1) 協議離縁,調停離縁,裁判離縁

養子縁組も,婚姻と同様に,清算することができます。

そして,離縁に際しても,養親と養子の話し合いにより可能であれば,裁判手続を利用する必要性はありません。

当事者間での話し合いにより結論が出ない場合には,家庭裁判所での調停を利用することが出来ます。
養子縁組の終了を求める側から離縁調停を申し立てることも出来れば,継続を求める側から親族関係調整調停を申し立てることもあり得ます。

調停でも決着が付かない場合には,離縁訴訟で離縁を請求することになります。

訴訟により離縁が認められるのは,次のいずれかの場合です。
① 他の一方から悪意で遺棄されたとき
② 他の一方の生死が3年以上明らかでないとき
③ その他縁組を継続しがたい事由があるとき

離婚訴訟と同様,①②は,有責当事者から主張することは出来ません。


(2) 離縁と一緒に定められる事項

離婚の場合には,親権,養育費,財産分与,慰謝料,面会交流などを定めることが出来ました。

これと同様に,離縁の場合にも,付帯した問題を一緒に裁判で片付けることはできるでしょうか。

離縁の場合には,せいぜい慰謝料が問題となる程度であり,財産分与を付帯請求することは出来ないと考えられています。

しかし,それでは,養子が養親の財産形成に貢献したにもかかわらず,無一文で離縁される,といったような不公正が起こりえます。
そのような時には,慰謝料の金額で調整するというのが,一般的には行われているようです。
現実には,それでは不公正が解消されるわけではないでしょうが,難しいところです。

(3) 離縁が成立すると

養子は,離縁の日から3か月以内に,離縁の際に称していた氏を称する届をすることで,離縁の際の氏を名乗ることが出来ます。
そうでなければ,原則として,養子縁組前の氏に戻ることになります。


(4) 特別養子縁組の場合

なお,上記は,普通養子縁組の話であり,特別養子縁組には当てはまりません。

特別養子縁組は,原則として離縁できず,特別の事情がある場合に,家庭裁判所の審判を経て離縁することができます。
離縁審判の申立権者は,養子,実父母または検察官であり,養親は申し立てることが出来ません。

特別の事情としては,
① 養親による虐待,悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること
② 実父母が相当の監護をすることができること
③ 養子の利益のために特に必要があること
が要件となります。

離縁審判により離縁が認められれば,離縁の日から,特別養子縁組によって終了した親族関係が復活します。







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