2014年7月25日金曜日

(事例) 痴漢?

刑事事件の事例を紹介したいと思います。

バス内での痴漢(条例違反)が疑われた事例でした。
被害者は,小学生の女の子。
被疑者は,30代の男性でした。



私は,当番弁護センターからの要請で,被疑者への接見に行き,弁護人として就くことになりました。

被害者は,2人がけの椅子に座っていると,となりに座った被疑者から膝のあたりをなでられた,と被害を訴えています。
バスは,それほど混んでいたわけではありませんが,すべての席に客が座っているという程度の混み具合でした。

男性は,太っていて,おそらく小学生の女の子からすれば,かなり近寄りがたい雰囲気であったと思います。
聞いてみると,体格については,病気の影響もあるようでした。

私としては,被疑者が実際に犯罪を犯したというのであれば,速やかに被害者との間の示談を行ったうえで,被疑者については再発防止のために何らかの治療等につなげることが出来ればと思っていました。
被疑者が身に覚えがない,と言っている場合には,そのような対応をすることは出来ません。

そこで,詳しく当時の状況を,被疑者から聞くことにしました。
被疑者は,被害者の訴えについて,身に覚えがないという主張をしています。
ただ,はっきりとした自信があるわけではない様子が,印象的でした。
すると,当日,被疑者は,病院からの帰りで,疲れていて半分寝ていた,というのです。
そして,気づけば女の子のスカートの上(ふとももの上)に,手が乗っていた,ということを認めていました。

一方,被害者も,膝に手を当てられた,というような供述を行っているだけで,それがわいせつ目的等によるものなのかも,はっきりとしないようでした。

どちらにしても,被疑者には通院が必要な持病があり,被害者とも今後接する可能性も少なく,バス内での目撃証人を特定する可能性もなく,その他勾留の必要性はないと判断しましたので,被疑者を勾留し続ける必要性はないと思いました。
そこで,勾留決定に対する準抗告を行いましたが,それは認められませんでした。
そのため,10日間の勾留が認められることになりました。
この判断は,おかしいとは思いますが,現在の刑事事件の運用をもとにすると,普通の判断です。

次に,私が行ったのは,勾留延長を認めさせない,ということでした。

被疑者の身体状況や,曖昧な犯行状況を考え,検察官宛に手紙を書き,勾留延長の手続きを取らないように求めました。

その結果,10日間の勾留後,処分保留にて被疑者は身柄開放されました。

その後,嫌疑不十分により,不起訴となりました。

女の子は,事件の際,おそらくかなりショックだっただろうと思います。
見知らぬ太った男の人が,膝の上に手を置いてきたのですから。
しかし,それが犯罪に該当するかどうかは別問題です。

被疑者にとっては,良い弁護活動が出来たと思っています。


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