インターネット・トラブルで多いのが,ウェブサイト,特に掲示板等における権利侵害の事例です。
名誉毀損や侮辱・名誉感情の侵害
プライバシーの侵害
著作権の侵害
これらは,故意的にされるものもありますが,悪いとは思わずに,うっかりなされてしまうようなケースもあります。
故意である場合はもちろん,過失の場合であっても,刑事罰が科されることもあります。
社会生活を営んでいる以上,人間関係は必ず生まれます。
実生活上トラブルになっているようなケースで,ネット上に悪口を書き込まれたり,というのは分かりやすいパターンでしょう。
さらには,実生活上受けるイメージと,ネット上の生活における活動とは,必ずしも一致する者ではありません。
したがって,社会生活上何のトラブルも起こっていない,と思っていても,見知っている人からこのような権利侵害を受けることもあり得ます。
また,インターネットはすでにひとつの社会を形成しているため,ネット上での付き合いの中から,トラブルに発展し,ネット上で攻撃を受ける,というようなケースもあります。
ウェブサイト上の書き込みによる権利侵害の場合には,相手に対して,削除や損害賠償を求めるに際して,相手方をどのように特定できるのかどうかが問題となります。
中には,直接のやり取りの中で,権利侵害者が特定できるようなケースもあるでしょうが,簡単ではない場合も多いでしょう。
また,権利侵害を行った人については「見当が付いている」といっても,相手がそれを認めない場合には,請求を行う側がそれを立証しなければならないので,見当が付いているだけでは無意味です。
ひとつの方法としては,刑事手続における捜査の進展を待つ,という方法もありえます。
しかし,捜査機関が動くほどの違法性が認められるか,また,動いてくれるとしても,それほど迅速に動いてもらえるとも限りません。
そのため,民事的な請求をみすえて相手を特定するためには,独特の方法をとる必要があります。
過失によるこれらの被害をなくすためには,教育によるネット・リテラシーの向上等が必要であり,個人の努力により被害に遭わないようにする,といっても限界があります。
なるべく情報をウェブ上に発信しないようにすれば,見知らぬ人から何らかの攻撃を受ける可能性は減るでしょう。
しかし,事業者であればウェブ上で自社のアピールを行うことも不可欠であり,何からの攻撃を受ける可能性があるために,ウェブ展開はしない,というのはナンセンスです。
また,個人であっても,SNSの発展により,ウェブ上の個人情報なくして社会生活を営むことは不可能だ,という人も増えていると思います。
被害を受けないために,これらを止めるというのは,ひとつの方法ではありますし,被害者になりうる人自身が未成年者等ネット・リテラシーの不十分な人の場合は,最適な方法だとも言えますが,全員にこれを勧めることは,現実的ではありません。
自衛の手段をとる(トラブルに口を突っ込まない,個人情報を必要以上に開示しないなど)ということは必要でしょうが,いざトラブルに巻き込まれてしまった場合には,損害が拡大しないうちに,相談して下さい。
具体的な解決のプロセスについては,次回以降に述べたいと思います。
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