2016年7月12日火曜日

懲戒処分としての減給

使用者は,非行のあった労働者に対して懲戒処分を下すことがあります。



懲戒処分を行うためには,あらかじめ就業規則にその種類や程度を記載し,就業規則に定められた手続きで行わなければならないとされています(労働基準法89条9号)。
また,就業規則は労働者に周知されていなければなりません。

懲戒の処分の種類として,労働基準法に定めはありません。
公序良俗に反しない限り,自由に定めることができます。

ただし,就業規則に定めがあり,労働者に非行があったからといって,使用者がむやみやたらと懲戒処分を行うわけにはいかないことは言うまでもありません。
労働契約法15条は,「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」と定めています。

懲戒処分には,一般的に一番重い懲戒解雇までありますが,今回は法律に定めのある減給を取り上げることにします。

労働基準法91条は,「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と定めています。
すなわち,減給の範囲については,限度がありますので,就業規則において,例えば給与を最大5割カットできると定めることは出来ません。

賞与についても賃金ですので,労働基準法91条の規制があります。
したがって,ペナルティが貯まったから賞与で一気に減額,というような処置を行うことは出来ません。

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