2014年4月24日木曜日

内定を取り消されましたが争うことはできますか

内定していた企業から,内定を取り消されてしまった。
このような場合に,内定を取り消された人は泣き寝入りをするしかないのでしょうか。

学生の場合など,希望の企業に内定をもらった後は就職活動をやめてしまう人も多いと思います。
そんな企業から内定を取り消されてしまうと,その企業で働けないことはもとより,どこにも働く場所が無い,という事態にも成りかねない重大事です。



内定は,労働契約の一種とされています。
ただ,始期が決まっているため,内定段階では会社のために働く義務もなければ,会社が賃金を払う義務もありません。
求人に対する応募が労働契約締結の申込み,それに対する内定通知は申込みに対する承諾と考え,申込みと承諾により労働契約が成立します。

内定の労働契約のもう一つの特徴として解除権が留保されている,とされることです。

内定を取り消す,というのは留保されていた解除権を会社が行使する(解約する)ということです。

しかし,会社による内定の取り消しは,前述したような重大な影響を内定者に対して及ぼすことになるため,判例上,内定取り消しが有効であると言えるためには,解雇の場合と同程度の合理的な理由がなければならないと,されています。

採用内定当時知ることができず,また知ることが期待できない事実が判明し,内定を取り消すことが客観的に合理的と認められ,社会通念上相当として是認できる場合に限り,内定取り消しが認められます。

すなわち,思ったよりも売上が落ちた,という程度で内定を取り消すことは出来ません。
業績悪化を原因とする内定取り消しの場合には,整理解雇の有効性と同じレベルの基準で有効性が判断されます。

企業側は,内定の取消しには慎重な姿勢が求められます。

内定取り消しを争う場合には,解雇の場合と同じく,地位保全の仮処分等の利用も可能です。

また,不当な内定取り消しに対しては,損害賠償請求も可能です。


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