2014年9月11日木曜日

法律相談あれこれ

さまざまな事で悩んでいる人の中には,これは弁護士に相談することなんだろうか,という疑問から,法律事務所に相談するということを控えてしまう人も居ます。



たしかに,世の中の悩みが全て法律問題に起因する,というようなことはありません。
生き方そのものの悩みは,法律問題として考えても,結局は解決にならない,ということもあります。
また,病気からくる悩みは,その病気を直すことが先決であり,医者やカウンセラーといった方々に相談すべき場合がほとんどでしょう。

しかし,一定の内容については,法律家に対する相談が,重要な役割をはたす可能性が高いでしょう。
迷ったら相談しましょう。
どこに相談に行ったらいいか分からない,という場合も,実は弁護士の分野だった,ということはよくある話です。

弁護士の法律相談は,料金が高い,と考えられる人もいるかも知れません。
しかし,弁護士としては自らの能力をもってサービスをするのですから,対価をいただくことに対してはご理解をいただきたいと思います。

弁護士としても,相談するのは無駄だったとは,相談者には思われたくありません。
しかし,残念ながら相談者側に問題があるばかりに,結局相談の意味がほとんど無かった,というような結果になることが,まれにあります。

そこで,法律相談を実りあるものにするためには,以下のようなポイントを考えながら相談すれば良いでしょう。


1 決めるのは相談者

弁護士は占い師ではありませんから,選択に迷ったときに,どっちを選ぶかをアドバイスするのは弁護士の仕事ではありません。
弁護士は,その選択をした場合に,どのような影響が出るのか,逆の場合はどうか,という助言をするのです。
もちろん,その結果,明らかに一方の道を選択すべきだろう場合もありますし,場合によっては,一方の道はそもそも法律的に許されない,という場合もあり得ますので,弁護士の助言が方向選択の決め手となることは,あるでしょう。
しかし,決定するのは相談するあなたである,ということは覚えておいた方が良いでしょう。
中には,どうしたら良いかということに対して弁護士の答えを求めてこられ,そこにこだわるばかりに話が進まない人もいます。


2 問いかけに関しては要点をこたえる

事案の内容を話す際に,要領よくポイントをまとめて,というのは難しいでしょう。
弁護士としても,そこまでは求めません。
(下記の通り,言い分をまとめた書面を用意してきて貰えば,要領よく話が聞けるでしょうから,理想ではあります。)
しかし,ひととおりの話を聞いた後に,この部分については詳しく聞いておかないといけない,というポイントを弁護士がつかんだ場合に,要点をしぼった質問をすることがあります。
それに対して,また一から応えたり,周辺事情を事細かに説明する必要はありませんし,それはかえって時間の無駄になってしまいます。
イエス,ノーで応えられる質問は,そうすべきでしょうし,そうでなくても端的な答えを求められていることがほとんどです。
弁護士としては,その答えが端的すぎると考えれば,次の質問を用意します。
中には,感情的になる余りに,弁護士の質問を遮ってまで,事情を並べ立てる相談者がおり,気持ちは分かるのですが,正直言って相談料がもったいないな,と思います。


3 関連する資料や,言い分をまとめた書面をできるだけ用意する

単純な質問であれば資料が無くても良いでしょうが,単純な質問をわざわざ弁護士に相談しなければ,という場面はそれほど多くはありません。
相談を受けるためには,事案を弁護士に理解させることが前提となります。
事案把握に時間がかかると,肝心の相談の時間は残らない,ということにもなりません。
弁護士は,資料を見る目には慣れていることがほとんどです。
資料があるかどうかが,法律相談の効果を大きく左右すると言っても過言ではありません。
私は,電話やメールで問い合わせを受けると,必ず,こういった資料を持ってきて下さい,というようにしていますが,関係あると思われるものは,持ってきて頂いた方が,後の事件処理をしていくことになったときにも,ずっと役に立つのです。


4 無理だと言われたことにこだわらない

弁護士は法律の範囲内での解決方法の有無を判断して相談に答えています。
したがって,弁護士が無理だと応えたことについて,いくら何とかなりませんか,と言われても結論は変わりません。
同じ弁護士に,そこをなんとか,と交渉することは時間の無駄であることが多いでしょう。
ただし,それは相談を受ける弁護士の能力によるものかも知れませんから,本当は,何らかの方法があるかもしれません。
その場合には,別の弁護士に相談することです。



(おまけ) 公開されている情報だけで弁護士を選ばない

値段が高いから良い,というわけではありません。
(同業者から見たらぼったくり,というような料金体系の法律事務所もあります。ただし,高価格で高品質のサービスを提供する弁護士も当然居ます。)

値段が安いから悪い,というわけではありません。
(効率化により安価を実現している法律事務所もあります。ただし,安かろう悪かろうというサービスの法律事務所もたくさんあります。)

専門とうたっているから,最高の解決を導けるとは限りません。
(単に,重点的にこれらの仕事を受けたい,という意思の表れであることもあります。ただし,高い専門性で,一定の事件に特化している事務所は,それに時間を掛けることができるので,平均以上のサービスを提供できることもあるでしょう。)

弁護士経験年数が長いから,優秀な弁護士であるというわけではありません。
(ベテランでも,はっきり言ってわけの分からない文章しか書けない弁護士もいます。ただし,経験に裏打ちされた素晴らしい活動をするベテラン弁護士もいます。若手弁護士は,どうしても経験が不足している場合はありますが,それを補う勤勉さで,十分な活動を行う人もいます。)

大きな事務所であるから安心,というわけではありません。
(どんな大きな事務所でも,必ず主任,担当弁護士がつき,あくまでもその担当者の能力に左右されるということです。事務所内で相談できる相手がいるというのは大きなメリットですが,その資源を生かせるかどうかは,弁護士次第です。逆に1人でやっている弁護士事務所でも,他の弁護士とのネットワークは必ずありますから,独断にまみれた事件処理をする,ということはほとんどないでしょう。)

このように,弁護士の能力,法律事務所の善し悪しというのは,外から見て分かるものではありません。
(専門家の我々から見ても,相手方にたった弁護士の能力がうっすらと見える程度で,あとは懲戒事例を見て,そんなひどい弁護士だったのか,と初めて気付くような場合がほとんどです。)

そのため,結局は,法律相談のときの弁護士の態度,人柄,法律事務所としての対応の善し悪し,そして,全体的なフィーリングが合うかどうかが,弁護士選びの決め手になるとしか言いようがありません。
そして,これは間違いではないと思います。
弁護士としても,相性が合う依頼者の事件の方が,やりやすい,というのはどうしてもあるでしょう。



以上が,法律相談を考えている人に対するアドバイスです。
できるだけ客観的に書いてみましたが,どうでしょうか(笑)。


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