内縁関係にある夫婦であっても,最近は通常の夫婦と同じような保護を受けられる場合も増えてきました。
裁判上も,例えば離婚の際の権利義務などについては,同様に判断される場合もあります。
それでは,相続の場面においてはどうでしょうか。
内縁の妻は,内縁の夫が亡くなった場合に,法律婚の配偶者が亡くなった場合と同様に,法定相続分を主張できるのでしょうか。
残念ながら,そのようなことはなく,内縁関係では,相続人にはなりえません。
また,内縁関係の解消の際には,離婚の場合と同じく「財産分与」が可能ですが,これは一方が死亡した場合には,適用できないとされています。
しかし,内縁関係であっても,被相続人に永年連れ添ってきたからには,遺産に対して何らかの権利主張をしたいでしょうし,被相続人としても,何らかの遺産を残したいと思うのが通常ではないでしょうか。
内縁の夫(妻)に財産を残すためには,原則として遺言による遺贈をするしかありません。
遺言を残すことにより,相続財産を内縁の夫(妻)に残すことができるのです。
もっとも,遺留分を持つ法定相続人がいて(直系卑属または直系尊属),遺留分減殺請求権が主張された場合には,全ての財産を内縁の夫(妻)に残すことはできない,ということになります。
なお,例外的に,法定相続人が一切いないような場合には,内縁の夫(妻)が,「特別縁故者」として,相続財産の全部または一部を受け取ることができる可能性があります。
ただし,これも家庭裁判所の裁量にかかることになりますので,必ず遺言を残しておくべきである,といえるでしょう。
また,内縁の夫婦が借家に住んでいて,賃貸借契約にり賃借人となっていた配偶者が死亡した場合,残された内縁の夫(妻)は,他の相続人が相続した賃借権を援用して,住み続けることができる,とされています。
もちろん,家賃は,残された内縁の夫(妻)が払うことことになります。
相続人がいない場合には,借地借家法により賃借権を取得することができます(同法36条)。
特殊なケースにおいては,財産が被相続人名義になっていたとしても,実際は内縁の夫婦の共有財産だったと認定されることもありえますが,その立証は難しく,必ず遺言を残しておくべきでしょう。
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