代襲相続とは,被相続人の相続人がすでに亡くなっている場合等に,別の人が代わりに相続することを認められる場合をいいます。
簡単な例で見てみましょう。
Xさんが80歳で亡くなりました。
Xさんの相続人には,妻のAさん(78歳),長男のYさん(53歳),長女のBさん(51歳)が居ました。
このままだと,法定相続分での相続を考える場合,A50%,Y25%,B25%での相続となりますね。
Yさんが2年前に交通事故で亡くなっていた場合はどうでしょうか。
Xさんの相続人となるのは,AさんとBさんだけ,つまりA50%,B50%となるのでしょうか。
結論は,Yさんの家族構成によって変わります。
Yさんに家族がなかった,あるいは奥さんだけだった,という場合には,Xさんの相続人となるのはAさんとBさんだけで,A50%,B50%となります。
しかし,Yさんに子どもが居た場合には違います。
Yさんの子は,本来Yが引き継ぐことの出来た財産を,相続することが出来ます。
Yさんの子(Xから見れば孫)が1人であった場合には,その子は,Xの財産の25%が相続分となります。
Yさんの子が複数であった場合には,Yが相続するはずだった財産を,子が等分したものが相続分となります。
これが代襲相続です。
代襲相続が認められるのは,本来は相続人であったはずの子または兄弟姉妹が,被相続人よりも先に亡くなった場合です。
そして,本来相続人であった子または兄弟姉妹に,子(被相続人から見れば,孫またはおいめい)がいることが必要です。
それでは,相続人である子または兄弟姉妹に加え,代襲相続人である孫またはおいめいが,先に亡くなってしまっていた場合はどうでしょうか。
例えば,先の例で,考えましょう。
Yさんは2年前に交通事故で,22歳になる長女Zと一緒に亡くなってしまいました。
長女Zには,1歳になる子D(被相続人Xから見ればひ孫)が一人居ました。
この場合には,Dについて代襲相続(再代襲)が認められます。
YにZ以外に子が居なかったとすれば,相続分はA50%,B25%,D25%ということになりますね。
YにZのほかにCさんという子がおり,Cさんが生きている場合には,A50%,B25%,C12.5%,D12.5%ということになります。
但し,再代襲が認められるのは,直系卑属の場合のみで,兄弟姉妹を代襲相続するのは,おい・めいまで,ということになります。
また,代襲相続が認められるのは,直系卑属のみですので,例えば養子の養子縁組前の子は,代襲相続することが出来ません。
代襲相続を考えるのは,相続人である子または兄弟姉妹が先になくなってしまった場合であり,相続人である親が先に亡くなってしまった場合には考える必要がない,というのは感覚的に分かると思いますが,注意を要するのは,配偶者には代襲相続がない,ということです。
別の例で見てみましょう。
PさんとQさんは結婚しましたが,2人の間には子は居ませんし,養子をとることもありませんでした。
そのうちに,Qさんが亡くなってしまいましたが,Qさんの母親Xは高齢ながらまだ存命です。
実は,Xは資産家であり,その資産は,一人娘のQさんが相続するはずでしたが,Qさんが先に亡くなってしまったのです。
数年後,Xさんが亡くなってしまった場合,Xさんの財産はどこへいくのでしょうか。
結論から言えば,Pさんは,Qさんを代襲相続する関係にはないため,Xさんの財産を相続することはできません。
この場合,Xさんの資産は,兄弟姉妹等の他の相続人のところに行くか,兄弟姉妹やおいめいが居ないあるいは,全て死亡している場合には,相続人がない状態になります。
PさんがXさんの資産を受け継ぐためには,XとPが養子縁組をするか,XがPに資産を遺贈するという遺言を書くしかありませんね。
摂津市,吹田市,茨木市,高槻市,島本町で,遺言相続に関するご相談は,
大阪北摂法律事務所まで。
もちろん他の地域からのご相談も受け付けています。
お気軽にどうぞ。