2014年10月27日月曜日

利益相反(コンフリクト)について

いざ,弁護士に相談に行こうとする時に,こんなことが気になることはありませんか。

・ この相談,もしかしたら同じ弁護士に,相手も相談しにいっているのではないか。

・ この弁護士は,もしかしたら相手の友達かも知れない。

弁護士が多い地域であれば,実際にこのようなことになる可能性も低いでしょうが,弁護士が少ない地域であれば,この可能性は馬鹿に出来なくなります。

逆に弁護士からすれば,どのように対処するのでしょうか。

弁護士は,ある事件について一方の当事者から相談を受けたことがある場合には,原則として利害の対立する当事者から相談を受けることは出来ません。

このルールはわりあい分かりやすいと思います。



しかし,次のような場合はどうでしょうか。

(例)
3兄弟のうちA,Bは,父親の遺産の相続について,末子のCと争っています。
一人の弁護士が,A,B2人ともの代理人となることができるでしょうか。

このような場合について,弁護士職務基本規定には,つぎのように規定されています。

弁護士は、同一の事件について複数の依頼者があってその相互間に利害の対立が生じるおそれがあるときは、事件を受任するに当たり、依頼者それぞれに対し、辞任の可能性その他の不利益を及ぼすおそれのあることを説明しなければならない。(32条)

弁護士は、複数の依頼者があって、その相互間に利害の対立が生じるおそれのある事件を受任した後、依頼者相互間に現実に利害の対立が生じたときは、依頼者それぞれに対し、速やかに、その事情を告げて、辞任その他の事案に応じた適切な措置をとらなければならない。(42条)

例では,AとBが対立しているわけではありませんから,弁護士Xが2人から依頼を受けてCとの交渉を始めることは出来ます。
しかし,遺産の分配方法をめぐって,AとBが対立を始めた場合には,問題が起こります。

この場合,Xは,Bとだけ決別してAの代理人として活動する,といった選択をすることは許されません。
(逆ももちろん許されません。)

そのため,A及びBとの契約に当たって,もしも利害が対立したら,両方を辞任することになることは,予め伝えておくことが要求されています。

相談者においても,ご理解をお願いします。


組織が大きくなれば,利益相反の起きる可能性も大きくなります。

例えば,AとBの夫婦が離婚関係で争い,Aの代理人として弁護士Xがついている場合に,Bが弁護士Xと同じ法律事務所に属するYに対して依頼をした場合,原則としてYは依頼を受けることはできません。


弁護士職務基本規定には,利益相反に関するいろいろな規定が,ほかにも定められています。

それでも,どこまでが許されて,どこからが許されないのか,というのは微妙な問題であり,規定のみから導けるものではありません。
限界事例については,弁護士が何年かに一度受ける倫理研修などで,議論して理解を深めています。





当事務所では,利益相反関係のあるお客様からの相談を受けることがないよう,十分に気をつけております。
利益相反防止の観点から,匿名での相談は,お受けすることができませんので,電話でも必ず本名を名乗って頂きますよう,お願いします。



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