インターネット通販などのウェブサイトには,「特定商取引法に関する表示」と書いてあることが多いと思います。
また,直接聞いたことがなくても,「クーリング・オフ」といった言葉を聞いたことのある人は多いでしょう。
特定商取引法の目的は,第1条に,次のように規定されています。
この法律は、特定商取引(訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に係る取引、連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引、業務提供誘引販売取引並びに訪問購入に係る取引をいう。以下同じ。)を公正にし、及び購入者等が受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通及び役務の提供を適正かつ円滑にし、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする
特定商取引とは,ここに規定されているとおり,
① 訪問販売取引(3条~)
② 通信販売取引(11条~)
③ 電話勧誘販売取引(16条~)
④ 連鎖販売取引(33条~)
⑤ 特定継続的役務提供取引(41条~)
⑥ 業務提供誘引販売取引(51条~)
⑦ 訪問購入取引(58条の4~)
の7種類であり,このほかに,⑧ 送りつけ商法(59条) も規制を受けています。
ひとつの取引が,複数の項目に該当する場合もあり,その場合には,それぞれの規制がかかってくることになります。
また,「クーリング・オフ」のように,複数の取引形態に共通して定められている規定もあるため,条文を読むだけでは,どのような取引がどのような規制を受けているのか,少しわかりにくいですね。
なお,特定商取引法では,「販売業者」と「役務提供事業者」が規制されています。
販売業者は,物品を販売する業者と考えれば良いでしょう。
役務提供事業者は,エステティックや語学教室などのように,無形の役務提供が契約の内容となる事業者のことです。
特定商取引法で規制される業者が規律に違反するとどうなるのか
・ 行政により業務停止等の措置を受けることがあります。
・ 禁止行為に違反した場合には,刑事罰もあります。
・ 契約自体は,無効もしくは取消が可能であったり,あるいはクーリングオフによる解除の効果が認められたりします。
次回以降で,どのような場合に,それぞれの取引に該当するのか,そして,どのような規制に服することになっているのかを見ていくことにしましょう。
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