2015年5月29日金曜日

特定商取引法④ 電話勧誘販売取引

特定商取引法で規制される「電話勧誘販売取引」とは,どのような取引を指すのでしょうか。

電話勧誘販売取引については,特商法2条3項で規定されています。



この章及び第五十八条の二十第一項において「電話勧誘販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が電話をかけ又は政令で定める方法により電話をかけさせその電話において行う売買契約又は役務提供契約の締結についての勧誘(以下「電話勧誘行為」という。)により、その相手方(以下「電話勧誘顧客」という。)から当該売買契約の申込みを郵便等により受け若しくは電話勧誘顧客と当該売買契約を郵便等により締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は電話勧誘顧客から当該役務提供契約の申込みを郵便等により受け、若しくは電話勧誘顧客と当該役務提供契約を郵便等により締結して行う役務の提供をいう。

この章とは,第2条~第32条の2を指します。
勧誘のために,業者側から電話をかける場合のほか,顧客側から電話をかける場合も含まれます。


電話勧誘販売の問題点

最近は,電話帳に電話番号をのせていないような家がほとんどなので,突然電話がかかってきて,商品や役務の勧誘を受けるという事態について,あまりイメージできない人もいるかも知れませんね。
電話勧誘販売は,業者側から電話をかけてくる場合,不意打ち性,匿名性などが特徴となります。
また,電話では通話者だけで話が進みますので,密室性があります。

電話の勧誘がしつこかったり,人によっては拒絶が難しかったりするかも知れません。
また性質上,即決が求められたり,いつ契約が成立したのかあいまいであったり,内容もあいまいであったり,といった問題点が挙げられます。

そのため,消費者保護が必要になるのです。


電話勧誘販売に対する規制

電話勧誘販売に関する具体的な規制は,特商法16条~25条に規定されています。

氏名等の表示義務(16条)

契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止(17条)

書面の交付(18条,19条)
 申込を郵便等で受けた業者は,顧客に対し,要式を備えた書面を交付しなければなりません。
 また,契約締結の際には,契約内容を明らかにする書面を交付しなければなりません。

承諾等の通知(20条)


禁止されている行為(21条)

業者は,顧客の申込の撤回や契約の解除をさせないために,顧客に対して次のような内容について,不実の事を告げてはなりません。
また,勧誘時にも,聞かれたら告げなければ成りません。

① 商品の種類及びその性能若しくは品質又は権利若しくは役務の種類及びこれらの内容等
② 価格または対価
③ 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
④ 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
⑤ クーリングオフ等に関する事項
⑥ 顧客が契約締結を必要とする事情に関する事項
⑦ その他、契約に関する事項で、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの


その他,訪問販売取引と同様に,クーリングオフの制度があります(24条)。
クーリングオフについては,他の取引とあわせて,別の記事で紹介します。




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